キャリア・教育の分野で注目されているのが、浪人生の増加だ。前年比6336人もの増加を示しており、その原因として「総合型選抜の拡大」が指摘されることが多い。しかし、これはミスリードである可能性が高い。早慶MARCHの一般選抜率は約6割にとどまり、年内入試の拡大によって一般入試枠が減少し、入試が難化したために浪人生が増えたという主張は単純化しすぎている。
一般選抜の難化の真因は定員厳格化
木戸氏(教育関係者)は「大学としての定員管理をしっかりやっていきたいという意識は引き続き強く、合格者を減らす動きは続いている」と語る。このように一般選抜が難しくなると、大学の難易度も偏差値どおりではなくなってくる。例えば、「今年は明治大学が難しかったようです。東大に合格したのに明治は残念だったという受験生もいました」と木戸氏は指摘する。また、他の大手塾も「もう偏差値どおりじゃない。青学に合格して女子大が残念だったり、東洋は年内学力(総合型選抜基礎学力テスト型)も一般選抜も残念で立教に受かったり。そういうケースが実に増えている」という。
有名大志向の高まりが「難化」を増幅させる
定員の厳格化が一般選抜の難化の原因であるとすれば、なぜ今年に限って浪人生が増えたのか。そこには受験生側の変化が重なっている。まず、有名大学志向の高まりだ。4月に財務省が40年までに少なくとも250大学を減らすとし、報道もされている。京都の名門女子大、京都ノートルダム女子大学が募集停止したのも話題になった。「大学の将来性を気にする受験生や保護者が増えており、できるだけ知名度のある大学に行きたいという志向が高まっているかもしれません」と木戸氏は述べる。自分が卒業した大学が消滅してしまうのは避けたいので、20年後も存続するであろう大学に進学したいと考えるのだ。そうなると、知名度や難易度のある大学を選ぶことになる。
2浪が1.4倍に急増、新旧課程の「はざま」が生んだ特殊事情
さらに、浪人生増加の背景には、新旧課程の「はざま」という特殊事情がある。2浪が1.4倍に急増しており、これは課程変更の影響が大きい。新課程への移行期には、旧課程の知識で受験できる最後のチャンスとして浪人を選ぶケースが増える。これらの複合的な要因が、単なる「総合型選抜の拡大」という説明では捉えきれない複雑な状況を作り出している。



