幼稚園に入る頃になると、子どもは言葉を理解し、自分なりに感じ、考える力が育ち始めます。この時期の読書で大切になるのは、物語を通して心が動く経験を重ねることです。
理解を確かめる質問は不要
「どういうお話だった?」と理解を確かめる必要はありません。子どもが驚いたり、笑ったり、怖がったりする、その反応そのものが大切です。物語をどう受け取るかは一人ひとり違いますし、正解もありません。大人は、子どもが感じたことを否定せず、そのまま受け止めてやってください。
時には、内容を取り違えていたり、思いもよらない解釈をしたりすることもあります。でもそれは、「考えている証拠」。理解させようとせず、「そう感じたんだね」と応じることで、子どもは安心して自分の考えをもてるようになります。
子どもの個性に合わせた本選び
文字や言葉から情報を得るのが得意な子、絵や写真などを好む子など、子どもによる個性の違いも表れる時期です。それぞれの好みに合わせて、本の楽しさを体験させてやってください。
おすすめの本20選から一部紹介
『おおきなかぶ』(対象年齢:3歳~)
A.トルストイ:再話/内田莉莎子:訳/佐藤忠良:絵 福音館書店
おじいさん一人では抜けない大きなかぶを、おばあさん、孫、犬、猫、ねずみが引っ張る。声の様子や読み方を工夫して、誰が「うんとこしょ どっこいしょ」と引っ張っているのかを表現してみると面白い。
『やこうれっしゃ』(対象年齢:4歳~)
西村繁男:作 福音館書店
昭和の時代に東京の上野から金沢まで走っていた夜行列車の様子を、絵だけで表現している名作。駅のホームや列車の中の様子が細かく描き込まれ、いろんな出来事が起きたり、同じ人物があちこちに登場したり。文字はないのに「この人、何しているんだろう」「あっ同じ人がいた」など、言葉がどんどん生まれてくる。
『だじゃれ日本一周』(対象年齢:幼児~)
長谷川義史:作 理論社
『だじゃれ世界一周』(対象年齢:幼児~)
長谷川義史:作 理論社
「おしりをきれいにふくしまけん(福島県)」「いいかげんにしがけん(滋賀県)」。「日本一周」では、47都道府県名のダジャレが、愉快で迫力ある絵と共に並ぶ。「世界一周」では、「これだれのかしっとるこ?(トルコ)」「おらんだ(オランダ)」など、世界47カ国の国名のダジャレが並ぶ。ダジャレは馬鹿にされがちだが、同音異義語をたくさん知っていないと楽しめない、意外と高度な遊び。ゲラゲラ笑いながら、本には出ていないダジャレも考えてみよう。
『落語絵本 そばせい』(対象年齢:3歳~)
川端 誠:作 クレヨンハウス
落語は、ストーリーの面白さはもちろん、語感や言葉の響きなども楽しむことができるので、子どもは大好き。本物の落語家みたいに登場人物によって声色を変えながら読むのもいい。『そばせい』のほか、呪文のような長い名前をつける絵本『じゅげむ』も子どもに人気。
※本稿は、『プレジデントFamily2026春号』の一部を再編集したものです。



