キャリア・教育において、浪人生が前年比6336人も増加したことが話題となっている。メディアでは「学校推薦・総合型選抜の拡大が原因で一般入試枠が減り、入試が難化した」という説明がなされるが、これはミスリードである。年内入試が拡大すれば、むしろ浪人生は減少するはずだ。
一般選抜率は約6割
「学校推薦・総合型選抜が拡大」と言われ、保護者たちも「一般選抜の枠が狭くなり、早慶やMARCHは外部から受験するのが大変だ」と不安を募らせる。確かに私立大学全体では入学者の6割が推薦・総合型で入学しているが、首都圏の有名大学に限れば事情は異なる。
旺文社「大学の真の実力 情報公開BOOK」の26年度入試データによると、一般選抜率は成蹊大学61.0%、法政大学62.6%、青山学院大学62.8%、慶應義塾大学56.6%、早稲田大学58.7%と、難関私立大学の大半が6割前後を維持している。この10年で早稲田は9%ほど一般選抜率を下げたが、慶應はほぼ変化がない。「一般入試の枠が激減した」というイメージと実態には大きな開きがある。
総合型選抜の質的変化
学校推薦・総合型選抜は「量」ではなく、中身が変化している。大学側は指定校推薦の枠を絞り込み、学力重視の総合型選抜や公募制推薦へシフトする動きが進んでいる。例えば成蹊大学は27年度入試から「総合型選抜 基礎学力型」を導入。経営学部は500点満点中、学科試験350点・調査書100点・活動報告書50点、法学部は学科試験400点・調査書30点・活動報告書70点と、学科試験の配点が高い。
定員厳格化こそが浪人増加の理由
浪人生増加の真因は、定員厳格化にある。2016年度から段階的に導入された定員厳格化により、大学は入学定員を超過できなくなり、合格者数を絞らざるを得なくなった。これにより一般選抜の競争率が上昇し、不合格となる受験生が増え、浪人生が増加したと考えられる。総合型選抜の拡大は浪人生増加の原因ではなく、むしろそれを緩和する方向に働いている可能性が高い。



