感情をコントロールする上でも、「自分にはできる」と信じることが重要となります。心理学者でミシガン大学教授のイーサン・クロス氏が、自己効力感の力を解説します。
人生を狂わせてきたヘビ恐怖症
1960年代後半、地質学者、電話修理工、平和部隊のボランティア、そしてゴルファーが、ある研究所にやって来ました。彼らに共通するものは何でしょうか? ヘビです。もっと具体的に言うと、人を衰弱させ、人生を変えてしまうほどのヘビに対する恐怖、つまりヘビ恐怖症です。
当時はまだインターネットが普及していなかったため、著名な心理学者のアルバート・バンデューラは新聞広告を通じて自分の研究に参加してくれる人を募集しました。すると、少数の人々がそれに応じ、ヘビ恐怖症がいかに人生を狂わせてきたかという驚くほど似たような話を語りました。
彼らはハイキングやキャンプといったアウトドア活動を諦め、趣味のリストからガーデニングをはずしていました。ある被験者はヘビを殺そうとして誤って自分を撃ってしまったといいます。多くの人がヘビの悪夢を繰り返し見ており、それが数十年も続いている人もいました。要するに、彼らの人生は恐怖によって封じ込められていたのです。
徐々にヘビに近づいてみると
バンデューラは、被験者に徐々にヘビに近づく課題を与えました。恐怖を克服する過程で、自己効力感が重要な役割を果たすことが明らかになりました。
「自己効力感」というスーパーパワー
自己効力感とは、「自分にはできる」という信念です。この信念があれば、湧き上がる感情そのものをコントロールできなくても、感情の軌道、つまり感情がどのように展開し、行動に影響を与えるかをコントロールできるとクロス氏は述べています。
自己効力感はあらゆる事象を方向づける
自己効力感は、私たちの行動、思考、感情のパターンに深く影響します。高い自己効力感を持つ人は、困難に直面しても粘り強く取り組み、ストレスをうまく管理できる傾向があります。
本記事は、イーサン・クロス氏の著書『Mood Shift(ムード・シフト): 「感情」をコントロールし、気分に振り回されないための科学的根拠に基づくテクニック』(東洋経済新報社)から一部抜粋・編集したものです。



