「前頭葉が縮んでいる」医師の一言で人生一変、67歳が外国語学習で実感した脳への効果
「前頭葉が縮んでいる」医師の一言で人生一変、67歳が外国語学習で実感した脳への効果

「前頭葉が少し縮んでいます」――医師のこの言葉を聞いた瞬間、思わず耳を疑った。3年前のことだ。長年働いた会社との雇用関係が65歳で切れるのを機会に、脳ドックを受けてみた。最先端の技術で脳の状態をチェックするものだ。会社が費用を負担してくれる制度があるが、これまで使ったことがなかった。

年を取れば縮むものと医者は言うが…

医師は私の驚いた表情を見て「ああ、心配することはありません。年を取れば誰でも多少縮むものなんです」と声をかけてくれた。ということは、努力してもだめなのか――。ますます落ち込んだ。

前頭葉は大脳の最も前方に位置し、頭蓋骨のすぐ内側に沿って丸みを帯びたドーム状の形をしている。人間らしさを支える脳の司令塔であり、高度な知的活動の多くを担っている。ここが衰えれば、物事を整理して考える力や、複雑な情報を処理する能力が低下していく可能性がある。19世紀の鉄道工事で誤って鉄棒が前頭葉を貫通し、性格が一変したとされるフィニアス・ゲージ(1823~60年)の例はよく知られている。ゲージはアメリカの鉄道建築技術者だった。

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もちろん、少し萎縮したからといって、すぐに脳の機能が低下して、認知症になるわけではあるまい。しかし、年齢とともに脳が老化しているという現実を突き付けられたことは確かだった。

「もう一度学びたい」英語への再挑戦

少しでも活発な脳を維持するにはどうすればいいのか。少し重い気持ちを抱いたまま、家に帰ってパソコンを開いてみた。「前頭葉を鍛える方法」はあるのか――。そこで出会ったのが、外国語学習だった。脳科学の研究では、新しい言語を学ぶことで脳の可塑性が高まり、認知機能の低下を遅らせる効果が示唆されている。

筆者は若い頃に英語を学んだ経験があったが、長年使わないうちにほとんど忘れてしまっていた。そこで「もう一度学びたい」という気持ちから、英語の再学習に挑戦することにした。最初は簡単な英会話アプリから始め、徐々にニュース記事を読むなどレベルを上げていった。

韓国語とドイツ語を「リフォーム」

英語だけでは物足りず、次に韓国語とドイツ語にも手を広げた。韓国語はハングルの文字が独特で、最初は戸惑ったが、韓流ドラマを字幕なしで見たいというモチベーションが続いた。ドイツ語は論理的な文法構造が面白く、哲学書を原書で読むという目標ができた。

筆者はこれらの学習を「脳のリフォーム」と呼んでいる。新しい言語を学ぶことは、脳内に新たな神経回路を構築する作業に他ならない。特に前頭葉は、計画立案や意思決定、注意の制御などに関わるため、外国語学習によって刺激されるのだ。

外国語は老化速度を遅らせる

実際に学習を続けて3年が経ち、筆者は明らかな変化を実感している。以前よりも物忘れが減り、集中力が高まったように感じる。脳科学の研究によれば、バイリンガルやマルチリンガルは認知症の発症が平均で4~5年遅れるというデータもある。

もちろん、個人差はあるが、筆者の場合、外国語学習が脳の活性化に大きく寄与していることは間違いない。医師から「前頭葉が縮んでいる」と告げられた時の不安は、今では学習への意欲に変わっている。

「第2の知的青春」は楽しい!

外国語学習は、単に脳の老化防止だけでなく、新しい世界を広げてくれる。異文化への理解が深まり、海外のニュースを原語で読める喜びは大きい。筆者はこの経験を「第2の知的青春」と呼び、同年代の人々にも積極的に勧めている。

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年を取っても脳は変化する。前頭葉が縮むのは避けられないかもしれないが、その速度を遅らせることは可能だ。外国語学習はその有効な手段の一つであり、何より楽しい。筆者はこれからも学び続けるつもりだ。