「前頭葉が縮んでいます」――医師の一言で人生が変わった67歳のジャーナリストが、脳の老化を防ぐために外国語学習に挑んだ軌跡を語る。脳に関する数多くの研究から、複数の言語を使うことが認知機能の維持や認知症の発症遅延につながることが明らかになっている。
脳の老化を遅らせる方法としての外国語学習
脳の老化を遅らせる方法として、運動、睡眠、食事、交流、楽器演奏、読書などが挙げられている。どれも根拠のある方法だが、筆者の目に留まったのは「外国語学習」だった。時間がかかるわりに成果を上げにくい外国語学習が、脳の健康につながるという。本当だろうか。
複数の言語を使う人は、1つの言語しか使わない人より認知機能が維持されやすく、認知症の発症も遅れる。そして前頭葉の働きも鍛えられるという研究結果が、世界中から報告されている。筆者は「これだ」と思い、外国語学習に挑戦することを決意した。
67歳での挑戦と実感した効果
筆者は東京新聞の前論説委員であり、ジャーナリストとして活動してきた。67歳で医師から「前頭葉が縮んでいる」と診断され、そのままでは認知機能の低下が進むと警告された。そこで、脳の活性化を目指し、外国語学習を始めた。
学習を続けるうちに、記憶力や集中力の向上を実感。特に、新しい単語を覚える際の脳の働きが活発になり、日常生活でも頭の回転が速くなったという。また、複数の言語を行き来することで、思考の柔軟性が増し、問題解決能力も高まったと感じている。
研究が示す多言語使用のメリット
世界中の研究によれば、バイリンガルやマルチリンガルは、モノリンガルに比べて認知症の発症年齢が平均4~5年遅れるというデータがある。これは、複数の言語を切り替えることで脳の前頭葉が常に鍛えられ、認知予備力が高まるためと考えられている。
また、外国語学習は脳の可塑性を高め、加齢による脳の萎縮を遅らせる効果も報告されている。特に前頭葉は、計画立案や意思決定、感情制御など高次な認知機能を司る領域であり、その活性化が認知機能の維持に重要だ。
筆者の体験と今後の展望
筆者は現在も外国語学習を継続しており、脳の衰えを感じることなく、むしろ以前よりも活動的になったと語る。「医師の一言がなければ、このような挑戦をすることはなかった。外国語学習は脳に良いだけでなく、新しい文化や視点を得る機会にもなる」と述べている。
今後の目標として、さらに高度な言語スキルを身につけ、海外のニュースを原文で読めるようになりたいと意欲を見せる。また、同じように脳の老化に悩む高齢者に向けて、外国語学習の勧めを発信していく予定だ。



