廃校活用の不登校支援施設「ここから」開設20年、自然の中で心を癒やす共同生活
廃校活用の不登校支援施設「ここから」開設20年

長浜市余呉町上丹生の山あいにある古びた木造校舎を活用した、不登校の児童生徒の自立を支援する寄宿施設「子ども自立の郷ウォームアップスクールここから」が6月、開設20年を迎えた。悩みを抱える子どもたちが自然豊かな環境で毎週4泊5日の共同生活を送り、心身を癒やし、地域住民に見守られながら巣立っていった。

共同生活の朝はじゃんけんから

「じゃんけん、ぽい。よっし」。2025年冬のある朝、木造校舎2階のキッチンに、通信制高校2年の真司(仮名、16歳)の声が響いた。食事後、食器洗いや台ふきなど片付けの担当を決める恒例のじゃんけん。一抜けした真司は棚から布巾を取り出し、食器を洗うボランティア指導員に冗談交じりで催促しながら、洗いたての食器を丁寧に拭いていった。笑顔があふれる空間があった。

いじめがきっかけで不登校に

真司が入所したのは25年7月。近畿地方の自宅では母親と妹の3人暮らしだが、電車で約3時間かかる「ここから」で毎週木曜から月曜まで共同生活を送る。不登校になったのは中学2年生の時。集団でいじめられている友だちを助けたことが引き金になり、ターゲットにされた。教師に相談し、別室で授業を受けるようになったが、心も体もぼろぼろになった。その頃、妹も心の病で不登校となり、両親が離婚。「当時の記憶はほとんどない。思い出したくもない」と真司は語る。

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ゲーム依存から一歩踏み出す

昨年4月、通信制高校に入学してから生活は落ち着いたが、自宅で夜中までゲームの世界に没頭する毎日が続いた。「引きこもりかも」と思う自分がいた。人と会わない日々が続く中、自宅で鏡に映った自分を見て驚いた。「俺ってこんな暗い顔してたっけ」。25年5月、祖父に「温泉に行こう」と促され、車で到着したのが「ここから」だった。

子どもたちと20~30歳代の若者らが屋外でバーベキューを楽しんでいた。戸惑う真司に「遊びに来ている感覚でいいよ。したいようにしていいからね」と優しく声を掛けられ、緊張がほぐれた。自然に囲まれた環境もあり、心が解放された気分になった。ここで暮らす自分が想像できた。

規則正しい生活と心の凪

入所後は規則正しい生活を送る。午前8時からみんなで朝食を準備。食後は掃除や洗濯を分担して行う。犬の散歩も日課の一つだ。学校生活にない体験が心に「凪」をもたらしてくれた。空いた時間に指導員と重曹やクエン酸を使って入浴剤を作ったり、冬には薪ストーブ用の丸太切りをしたり。穏やかなだけではない「刺激」も時にはある。

20年の歩みと地域の支え

「ここから」は廃校となった小学校校舎を活用し、不登校の子どもたちが4泊5日の共同生活を送る施設として2006年に開設。以来、多くの子どもたちが自然の中で心身を癒やし、地域住民の見守りの中で成長してきた。施設は今後も、悩みを抱える子どもたちの受け入れを続けていく。

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