三重県鳥羽市相差町で、宿泊客向けの無料送迎バス「相差海女シャトル」が16日から運行を開始する。同市が県内で初めて導入した宿泊税を財源に、地域の長年の課題だった2次交通の確保が実現した。
運行概要と利用条件
シャトルバスは鳥羽駅と相差漁港を約30分で結び、午前と午後に各2往復、計1日4往復を運行。定員は21人で、宿泊施設が専用システムで予約する。対象は相差町のほか、周辺の国崎町や畔蛸町に宿泊する観光客、相差DMO主催の体験ツアー参加者。
地域の課題と宿泊税の活用
相差町は「石神さん」として知られる神明神社に年間約15万人が参拝する人気観光地。町内には約50軒の宿泊施設があるが、鳥羽駅から路線バスで40分かかり、2次交通の確保が課題だった。これまで各施設が個別に送迎していたが、往復1時間の負担が大きく、特に小規模民宿では運転手の確保や燃料費高騰が問題となっていた。
鳥羽市が2026年度から導入した宿泊税は、1人1泊200円を宿泊事業者が徴収し市に納付。市は年間約2億5000万円の税収を見込み、観光人材確保や2次交通充実などに充てる。今回、相差DMOには観光まちづくり事業補助金3000万円が交付され、シャトル運行が可能となった。
関係者の声
相差DMOの野村秀光代表理事は「個別送迎は車両や運転手の確保、燃料費などコスト面が課題だった。宿泊税の導入で念願のシャトルバスが実現できた」と喜ぶ。相差民宿組合の世古素大組合長は「小さな民宿は接客も料理も一人でこなしており、送迎のために運転手を雇うこともあった。負担が減ってありがたい」と述べた。
9日夜に開かれた説明会には約30人が参加し、13日までに33の宿泊施設が利用登録を済ませた。
宿泊税の波及効果
鳥羽市の宿泊税は県内初の導入で、観光まちづくり事業補助金として市観光協会にも1億円が交付される。DMO(観光地域づくり法人)は行政や事業者と連携し、誘客戦略を策定する司令塔で、2026年4月時点で全国に326法人が登録されている。



