ヨーロッパの都市交通、特に路面電車やバスでは、乗務員がチケットを確認しない「信用乗車」方式が広く採用されている。このシステムに不慣れな日本人観光客を中心に、切符を購入したにもかかわらず罰金を科されるトラブルが多発している。ルールを知らなかったという言い訳は通用せず、悪質な場合はパスポートに犯罪履歴が記録される可能性もある。
信用乗車方式の仕組みと落とし穴
信用乗車方式では、駅や停留所に改札機が設置されておらず、乗客は自己責任で有効な乗車券を所持しなければならない。例えば、プラハの地下鉄入口には改札機はなく、白線が引かれているだけだ。乗車前に券売機やアプリで切符を購入し、車内や駅の刻印機で有効化する必要がある。この「刻印」を忘れると、不正乗車とみなされる。
検札係は制服ではなく私服で乗車し、ドアが閉まった瞬間に一斉に検札を開始する。これは悪意のあるただ乗りを逃がさないための戦略だ。日本人観光客はこのシステムを理解しておらず、切符を買っていても刻印していないために罰金を取られるケースが後を絶たない。
罰金の実態と「知らなかった」は通用しない
不正乗車が見つかった場合、悪意の有無にかかわらず罰金は等しく徴収される。言い訳が通れば悪意のある者も逃げられるからだ。罰金はその場で現金やカードで支払うか、後日銀行振り込みやネット決済が可能。後日払いの場合、パスポートやIDを確認され、踏み倒そうとすると犯罪履歴が残り、次回入国時に摘発されるリスクがある。
オランダ・アムステルダムでは、信用乗車方式を早期に導入したが、不正乗車があまりに多く、乗務員による運賃収受へ戻した例がある。不正乗車で捕まった人の調査では、罰金額が普通運賃の30倍であっても、検札に引っかかる確率が50回に1回なら、罰金を払った方が得だと考える乗客が多かったという。
日本人が犯しがちなミスと対策
日本人旅行者は、日本の交通システムと異なり「切符を買えばそれでOK」という認識でいるため、刻印や有効化を忘れやすい。また、複数人で乗車する際に1枚の切符を共有しようとするケースも罰金対象となる。対策として、各都市の交通ルールを事前に調べ、必ず刻印や有効化を行うこと、またアプリでのモバイルチケットを利用することが推奨される。
罰金を支払わないと、後日逮捕状が出される可能性もあり、EU圏内では情報が共有されるため、出国時に身柄を拘束される事例も報告されている。観光客であっても例外ではない。



