リタイア後、地域とのつながりは非常に重要になる。しかし、中には「溶け込みたいのに溶け込めない」「溶け込もうとするほど周囲から浮いてしまう」と感じる人も少なくない。精神科医の保坂隆氏は、その原因の一つに「自己顕示欲の強さ」を指摘する。
地域に溶け込みにくい人の特徴
保坂氏によると、以下のような項目に心当たりがある人は注意が必要だ。
- 人の話を聞くより、自分が話すほうが好き
- 仕事人として優秀だった自分のことを知ってほしい
- 自分が取りまとめれば、もっと事がうまく運ぶと思っている
- 人に仕切られるより、自分が仕切るほうが性に合っている
これらの項目に共通するのは「自己顕示欲の強さ」である。もちろん、自己顕示欲が強いこと自体が悪いわけではない。しかし、地域活動に参加し始めて日が浅い人にとっては、この自己顕示欲の強さがマイナスに働きやすい。
「郷に入れば郷に従え」の大切さ
地域に溶け込むためには、ある程度の努力が必要だ。「郷に入れば郷に従え」という言葉通り、その地域のルールや習慣を尊重することが求められる。元エリートほど、これまでの成功体験から「自分のやり方が正しい」と思い込みがちだが、それがかえって周囲との摩擦を生む。
頼み事をするときの印象を良くする方法
保坂氏は、頼み事をする際のコツも紹介している。例えば、相手の都合を優先し、感謝の気持ちを伝えることが重要だ。一方的に頼むのではなく、相手の立場を理解した上で依頼することで、印象が大きく変わる。
「ひとり老後」で最も不安なこと
多くの人が「ひとり老後」に対して不安を抱えている。保坂氏は、その不安の根本には「病気や老いが進んでひとり暮らしが難しくなったらどうしよう」という懸念があると指摘する。尊厳のある最期を迎えるためには、そうした状況になったときに「自分はどうしたいか」を明確にしておく必要がある。
「ひとり死」を支えるご近所仲間
「ひとり死」を支えるのは、医療や介護のプロだけではない。実は、ご近所との良好な関係が大きな支えとなる。日頃から挨拶を交わし、ちょっとした助け合いができる関係を築いておくことが、安心した老後につながる。
保坂隆氏の著書『ムリなく気楽にちょうどよく 「ひとり老後」の人づきあいの知恵袋』(明日香出版社)では、こうした具体的なアドバイスが多数紹介されている。地域社会で「面倒な人」扱いされないためにも、自己顕示欲を抑え、周囲と調和する努力が大切だ。



