神童だった下村英理さん、20歳で人口31人の集落と向き合う
神童だった下村英理さん、20歳で人口31人の集落と向き合う

幼いころに「天才」「神童」と呼ばれた子どもたちは、その後、どんな大人になっているのか。連載「神童だったあの子の今」では、早熟ゆえに称賛と戸惑いを同時に抱えてきた人物たちを訪ね、いまの彼らがどんな景色を見ているのかを聞いていく。

今回取材したのは、下村英理さん(20)。奈良県出身、西大和学園を経て、東京大学経済学部に推薦入試で入学した現役の東大生である。彼は今、三重県南伊勢町の人口31人の集落、道行竈(みちゆくがま)に通い詰め、現地NPO法人の唯一の東京在住メンバーとして活動している。

小3で「好きなものはNHKニュースおはよう日本」

下村さんは2005年、奈良県で生まれた。両親は山口県と大阪府にそれぞれルーツを持ち、大阪の親戚宅には車で1時間ほどの道のりを走ってよく通ったという。教育一家、というわけでもない。そんな家に育った彼は、しかし、幼稚園児のうちに、周囲のどの子とも異なる嗜好を隠しきれなくなっていた。

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小学2〜3年生の夏休み、彼はNHKの朝の連続テレビ小説にハマる。そして朝ドラと同じかそれ以上に彼の心をつかんだのが、直前に流れる『NHKニュースおはよう日本』と『NHKニュースおはよう関西』のニュースだった。「みんながアニメや映画を見て楽しんでいるような感覚で、自分はニュースを面白がって見ていたんです」と振り返る。

小学3年生の自己紹介カードには、「好きなものは?」の欄に他の子どもたちが『妖怪ウォッチ』のキャラクターを書き込むところ、彼は迷いなく「ニュース」と書いた。いわゆる大阪都構想の議論が世間をにぎわせているのを、テレビ越しに面白がっている小学生。親戚宅が大阪にあり、住民説明会に一緒についていったこともある。

机に座って教科書を開くだけの学び方に違和感

下村さんは「机に座って教科書を開くだけの学び方に違和感があった」と語る。実際の社会や政治の動きに興味を持ち、教科書の知識だけでは満足できなかった。この違和感が、後の活動につながっていく。

高校生になった彼が夢中になったこと

高校生になると、下村さんはさらに社会問題への関心を深めた。特に人口減少や地域コミュニティの衰退に強い関心を持ち、実際に現場を訪れるようになる。

先生は東大を強く勧めた

西大和学園の先生は、彼の才能を見抜き、東京大学への進学を強く勧めた。下村さんは「先生が東大に行かせたがった神童」と評される存在だった。推薦入試で東大経済学部に合格し、現在は学生生活を送っている。

人口31人の集落に見いだした“価値”

三重県南伊勢町の道行竈は、人口わずか31人の小さな集落。下村さんはここに通い詰め、地域の課題と可能性を探っている。現地NPO法人の唯一の東京在住メンバーとして、情報発信や支援活動に取り組む。

本を出版、NPO理事に…彼の現在地とこれから

下村さんはこれまでに本を出版し、NPO法人の理事も務めている。20歳になった今、彼が向き合うのは「日本が抱えることになる問題」、すなわち過疎化と地域コミュニティの存続である。彼は「この集落の価値を多くの人に知ってもらい、持続可能な形で未来につなげたい」と語る。

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