ウィシュマさん訴訟結審、判決は12月11日 医療提供の適切さ争点
ウィシュマさん訴訟結審、判決12月11日 医療提供争点

2021年に名古屋出入国在留管理局でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が収容中に死亡した問題で、遺族が国に計約1億5600万円の損害賠償を求めた訴訟が22日、名古屋地裁で結審した。判決は12月11日に言い渡される。

遺族側の訴え

ウィシュマさんが亡くなって5年4カ月余り。遺族側は、この日の弁論で「助ける時間は十分にあったのに、最後は声も出せずに命を落とした。こんなことが二度と起きないよう、道しるべになる判決を」と訴えた。

訴訟の経緯と争点

ウィシュマさんは20年8月に名古屋入管に収容され、21年1月以降、体調不良を訴え、3月6日に死亡した。遺族が22年3月、国に賠償を求めて提訴。口頭弁論は計26回に及んだ。

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訴訟で大きな争点となったのは、ウィシュマさんに対し適切な医療措置が提供されたか、入管の対応と死亡に因果関係があるかだ。入管で診察した非常勤医師1人を含め、医師・専門家ら計4人への証人尋問を実施し、医療判断の合理性などが審理された。

遺族側が問題視する点

遺族側が特に問題視しているのは、21年2月にあった2回目の尿検査の結果を受けた対応だ。体の維持に必要な糖が不足したときに生成される「ケトン体」の数値が飢餓状態を示唆する「3+」で、1月にあった1回目よりも悪く出ていた。非常勤医師は、ストレス性による体調不良を疑い、精神科の受診を指示した。

ウィシュマさんはその後、入管職員に「病院の点滴お願い」などと訴えたが、「私パワーないからできない」「ボスに伝えるけど」などと言われる様子が監視カメラに残されていたという。

非常勤医師は、診療時間外の症状の一部や訴えに関し、職員から報告を受けていたかは「記憶にない」などと証言。遺族側は「入管におけるコミュニケーション体制が絶望的なまでに欠落していた」と非難し、適切な治療がされていれば、死亡しなかったと訴えた。

国側の主張

一方、国側は「医療対応に違法は認められない」と主張。2回目の尿検査の3日後にあった診察時には意識障害などは確認されず、食欲不振を改善できればケトン体の数値も下がると見込まれることから、原因究明のために精神科を受診させた治療方針には合理性があったなどと訴えた。

また死亡の原因や機序は不明で、取るべきだった結果回避措置も特定できないと主張した。

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ウィシュマさんの国賠訴訟をめぐる経緯

  • 2017年6月:留学生として来日
  • 18年6月:留学先の日本語学校が「所在不明」を理由に除籍
  • 20年8月:不法残留容疑で逮捕。名古屋入管に収容
  • 21年1月15日:食欲不振などを訴える。以降、体調が悪化
  • 1月26日:1回目の尿検査
  • 2月5日:外部病院の消化器内科を受診。目立った異常は見つからず
  • 15日:2回目の尿検査
  • 23~25、27日:外部病院の受診や点滴を訴える
  • 3月4日:外部病院の精神科を受診。診断結果は「身体化障害(ヒステリー)あるいは詐病の疑い」
  • 6日:搬送先の病院で死亡確認
  • 22年3月:遺族が国に損害賠償を求めて提訴
  • 26年7月22日:訴訟が名古屋地裁で結審
  • 12月11日:判決言い渡しの予定