都市型水害「内水氾濫」に警戒、大阪市はポンプ6台水没で半年以内に32台へ増設
都市型水害「内水氾濫」に警戒、大阪市ポンプ半年で32台に

20日で発生から1週間となる千葉県の豪雨は、都市型水害のリスクを浮き彫りにした。アスファルトの路面が多い都市部では、排水能力を超える大雨によって地表に水があふれる「内水氾濫」が起きやすい。6月の大雨で排水ポンプ6台が水没した大阪市では浸水対策を急ぐ。想定を上回るレベルの集中豪雨が頻発する中、河川の流域単位での連携も広がっている。

排水能力を超える雨量

今月13日夜から14日未明にかけて千葉県で線状降水帯が発生し、千葉市での13日夜の1時間降水量は8月1カ月の平年とほぼ同じ115ミリに達した。各地で道路が冠水し、水没して路上に放置された車両は約2500台に上った。

地面がアスファルトやコンクリートに覆われた都市部は雨水が地中に浸透しにくく、低地などに集中しやすい。大雨の場合、下水道などの排水設備で処理しきれず、行き場を失った雨水が用水路やマンホールからあふれる内水氾濫のリスクが高まる。

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1時間に80ミリ以上の雨について、気象庁は「息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じる猛烈な雨」と表現。傘は全く役に立たず、水しぶきで視界が悪くなり、車の運転は危険とされる。このレベルの大雨は6月26日、大阪市でも発生した。市の下水道設備は10年に1度程度とされる「1時間に60ミリ」の雨を想定して整備されているが、市の雨量計では最大83ミリを記録した。雨水排水施設「住之江抽水所」(住之江区)のポンプ6台が水没し、運転できなくなった。

ポンプ復旧に4年

低地が広がる大阪市は大部分が水害に弱い地形とされ、南東部では大雨の際、地下の「なにわ大放水路」(直径6.5メートル)で一時的にためた雨水を、同抽水所のポンプで河川に排水する。市の調査で、放水路とポンプ室を接合するゴム製ジョイントの破損が確認された。関西大の尾崎平教授(都市工学)は破損の原因について「下水管を通った雨水が短時間で一気に放水路に流入し、水位が急上昇したことで、下流方向のポンプ側に強い圧力がかかった可能性がある」との見解を示す。

市によると、ポンプの交換には約300億円を要し、復旧には4年ほどかかる見通し。現在は仮設の6台を含む8台体制で、放水路の最大貯留量30万立方メートルの排水に約1週間かかる。水没前は約1時間で済んでおり、浸水リスクは相対的に高まっている。市は応急対策として、ポンプの数を段階的に増やして半年以内に32台にする。30万立方メートルの排水は約2日で可能という。また、ポンプ水没の原因を究明するとともに再発防止策を議論する有識者会議を今月中に立ち上げる方針だ。

想定降雨量引き上げ

気候変動の影響で水害が激甚化する中、尾崎氏は「従来の下水道設備の設計基準では、十分に処理できなくなっている」と警鐘を鳴らす。自治体は下水道整備における想定降雨量の見直しを進めており、大阪市は1時間当たり60ミリを66ミリに引き上げ、関連設備を整備する。費用対効果の点で、想定降雨量をどこまで引き上げるかは、財源が限られる自治体にとって悩ましい問題だ。大阪市の横山英幸市長は「60ミリの設計を66ミリに引き上げるだけで数千億円が必要。慎重に見極めないといけない」と話す。尾崎氏は都市の再開発に際し、水害対策の視点を今まで以上に取り入れる必要があると強調し、「下水道整備と合わせ、排水前に雨水を一時的に貯留できる施設を増やすなど都市全体で機能を拡充することが重要だ」と述べた。

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流域一帯で治水対策

気候変動による水害の激甚化・頻発化に備え、国は自治体だけでなく、河川の流域に所在する企業や住民も含めた一体的な対策を推進している。「流域治水」と呼ばれ、都市部では川や下水道への急激な雨水流入を抑制するため、貯留・浸透機能を向上させる取り組みだ。関西大の尾崎平教授によると、東京など土地が限られた都心部では再開発に際し、地下に雨水の貯留浸透施設を設置するようになりつつある。一定条件下では設置が法的義務とされている。

京都市では道路脇に砂利などを敷き、雨水を一時的にためて地中に浸透しやすくする「雨庭」を設置。平成29年度から始め、今年4月時点で計18カ所に上る。住民ボランティアらが協力して管理しているという。市の担当者は「雨庭で雨水をためて浸透させることで、下水管に対する負荷を軽減する効果が期待できる」と話す。

福岡市は6月、福岡大(同市城南区)との間で治水対策に関する連携協定を締結した。大学グラウンドに家庭用風呂で最大約7000杯分(約2000立方メートル)の雨水を貯留できる施設を今年度中に整備する予定。市によると、大学施設を活用した官学連携の治水対策は政令市で初めて。高島宗一郎市長は協定締結時、雨水貯留施設の整備について「流域住民の安全に寄与する」と述べた。