東京都、悪質害虫駆除業者に業務改善指示
東京都は6月12日、「害虫!お助け本舗」と表示したホームページで集客し、害虫駆除等を勧誘していた「エイト」に対し、特定商取引法に基づき、訪問販売業務の改善を指示した。
同社は消費者宅を訪問する際、「害虫お助け本舗の●●です」などと告げるのみで、勧誘に先立って自社の登記簿上の名称を明らかにしていなかったという。また、契約締結時に作業員が消費者に交付する書面について、使用する薬品の商品名および商標または製造者名、事業者がクーリング・オフの行使を妨げた場合について、書面だけでなく電磁的記録によってもクーリング・オフができる旨、特約の内容を記載していなかった。さらに、クーリング・オフ期間内にクーリング・オフを申し出た消費者に対し、受け取った金額の全部または一部を返金しなかった。
東京都は同社に対し、命令の日の翌日から起算して1か月以内に、役員および従業員等と協議するなどの方法により違反行為の発生原因について調査検証し、再発防止策を策定した上で、業務従事者への周知徹底とコンプライアンス体制の構築を行うよう指示した。
エイトに関する具体的な相談事例
令和7年7月の夜、消費者は自宅でゴキブリを発見し、スマートフォンで検索して「出張費無料」「550円 追加料金なし」などと表示された害虫駆除業者のホームページを見つけた。550円で駆除できるとは思わなかったものの、1~2万円程度で済むと考えて依頼したという。
来訪した作業員Aは、料金の説明をせずに点検を開始しクローゼットから床下を覗きながら「黒いものが見えますか。あれゴキブリの卵です」「ふ化すると30匹前後になる」などと説明した。また、「ここの家がゴキブリのすみかになっている可能性がある」と言われ、相談者はショックで言葉が出なかったという。
点検後、Aは「これだけ条件が揃っているので、卵の抑制だけしても、外部から侵入してきたり、現在住み着いているゴキブリを追い出せません」として、数万~十数万円の駆除プランを勧めた。相談者が高額な費用にためらうと、Aは「一度検討を見送った女性から泣きながら電話がかかってきて、頭の上にゴキブリが降ってきたと言われた」と話し、相談者は恐怖心が高まり、約●●万円のプランを契約した。その後、契約金額が高すぎると感じてクーリング・オフ通知を送付したが、「全額返金には応じない」と主張され、一部返金の対応となった。
若年層からの相談が目立つ
東京都内の消費生活センターには、ゴキブリやネズミなどの害虫駆除サービスに関する相談が多く寄せられている。その内容のほとんどが、ネット広告で格安な事業者に依頼したところ、広告表示よりかなり高額な請求を受けたというもので、特に若年層(29歳以下)からの相談が目立っているという。
害虫駆除サービスに関するトラブルに注意
全国的に梅雨入りを迎え、湿度が高くジメジメとした日々が続いている。初夏は、高温多湿を好むゴキブリをはじめとした害虫が活発化するシーズンでもある。東京都は、今の時期こそ、こうした害虫駆除サービスに関する不当広告に注意が必要だとしている。
20歳代のある男性は、キッチンにゴキブリが出たため、すぐにネット検索し、「550円から」と広告している害虫駆除サービス事業者に電話をしたという。値段を確認したが、「現場を見ないと分からない」と言われたため、来訪を依頼。キッチンを見た事業者から、「ゴキブリの卵があるので卵抑制剤のほか、今後ゴキブリが寄ってこない薬剤処理が必要。全部で8万円になる」と言われたそう。高額で驚いたが、ゴキブリの卵を見せられて不安になり、仕方なく作業を依頼して全額を支払った。広告で見た金額と全く違うことに不満を抱いたという。
トラブルを防ぐための対策
東京都は、依頼する場合は広告表示を鵜呑みにせず、作業内容、見積額、出張費、キャンセル料の有無などを必ず確認するよう呼びかけている。「現場を見ないと金額は分からない」と言われても、費用の目安を聞いておくことが大切とのこと。また、事業者が来訪した際は、作業前に見積書をもらい、作業内容と料金の根拠を確認すること。説明に納得できない場合は、その場で契約せず、きっぱり断ることが大切だという。
さらに、困ったときはすぐに最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけている。クーリング・オフができる可能性があるとのこと。来訪した事業者から広告で見た金額とかけ離れた高額な料金を請求された場合は、すぐに契約せず、消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談するよう案内している。
「東京デジタルCATS」の取り組み
事実に基づかない「誇大な表現」や「嘘つきな表現」は景品表示法という法律で禁止されている。東京都生活文化局消費生活部では、法律に違反する事業者の指導や行政処分(措置命令)を実施しており、令和5年度には不当なインターネット広告への対応力を強化するため、「東京デジタルCATS」という専門家助言員チームを設置し、取組を更に強化している。



