熊本地震でテックフォース延べ4186人派遣、土木職員不足を専門技術で補う
熊本地震でテックフォース延べ4186人派遣、土木職員不足を補う

熊本地震の被災地で、国土交通省の緊急災害対策派遣隊「TEC-FORCE(テックフォース)」の活動が広がっている。災害時、道路や河川の復旧などにあたる土木系の市町村職員が現場で不足する中、専門知識をいかして応援する組織で、災害の激甚化や多発化に伴い存在感が高まっている。

レーザースキャナーで被災状況を計測

20日午前、テックフォースの隊員を兼ねる国交省九州地方整備局(九地整)の職員3人が、熊本県氷川町内の地震で傾いたガードレールにレーザースキャナーを照射し、被害の状況を計測していた。得られた情報はタブレットなどに3Dで表示され、ガードレールの長さなどを確認できる。

収集した現場の情報は氷川町の職員と共有し、復旧に向けた重要な基礎データとなる。被害報告書の作成や応急処置の検討など復旧の迅速化を後押しする。調査を行った隊員の桜井祥貴さんは「安全性を担保しながら、漏れのない的確なデータが取れるよう取り組んだ」と汗を拭った。

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土木系職員1人の町役場を支援

氷川町役場の職員129人中、技術系職員は建設下水道課の斉藤慎也さん1人のみ。斉藤さんは「道路や河川の調査、災害復旧査定の準備など、専門知識を要する場面は多い」とし、「小さな役場では手が回らないので大変助かる」と感謝する。

7月28日に発生した熊本地震では、今月20日午前10時時点で八代市や宇城市などにテックフォースが延べ4186人派遣された。死者・行方不明者が42人に上った2017年7月の九州北部豪雨の派遣人数(延べ4095人)を超えた。16年の熊本地震では延べ1万912人が派遣された。

今回の地震では、ヘリを使った上空からの被災状況調査のほか、給水支援などにも力を入れているのが特徴という。

土木系職員の減少で高まる要請

テックフォースは08年度、災害時の即時対応を目的に発足した。技術系職員らで構成され、災害発生後にできるだけ速やかに被災地に入る。自治体の支援ニーズの把握や道路などインフラの被災状況の調査、土砂の撤去など幅広い支援活動を担う。

派遣回数は増加傾向にある。発足当初は年数回だったが、23~25年は各17回に上った。災害の激甚化と頻発化に加え、被災自治体からの支援要請が高まっているという。背景にあるのが、土木部門の行政職員の減少だ。国によると、25年の市区町村の土木系職員は9万1096人で、1996年(12万3761人)から約3割減った。

九地整は、ドローンを使った調査部隊「ブルーホークス」も被災地に派遣。人が近づけない危険な場所や、高い場所での調査に役立っているという。国交省は大規模災害に備え、今後、こうした機器の調達も進め、職員の研修を重ねる方針だ。九地整は「迅速に被災情報を自治体に届けるため、デジタル機器も使った活動を続けていく」としている。

民間「予備隊員」制度も稼働

災害に備え、テックフォースは昨年6月、民間企業で働く土木などの専門家や公務員のOBらに事前登録してもらい、速やかな活動につなげる「予備隊員」制度を設けた。非常勤の国家公務員扱いで、初年度は全国で342人が登録された。今回の熊本地震では、延べ約20人の予備隊員が情報収集や現地調査を行っている。

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