インターネット上で誹謗中傷した投稿者を特定するための裁判手続き「発信者情報開示命令」の申立件数が、2025年に初めて1万件を超えた。22年の制度導入から右肩上がりに増えている。
ネット上の投稿による中傷被害などに損害賠償を求めて提訴する場合、投稿主を特定する必要がある。従来は裁判手続きを2回経なければならなかった。まずはSNS事業者やサイト運営企業に投稿者のIPアドレスなどの開示を求める仮処分や訴訟だ。次にプロバイダーに投稿者の氏名や住所などを開示させる訴訟を起こす。いずれも訴えを認めてもらうことが必須だ。
新たな手続きで簡略化
より早い被害救済を実現するため、22年に施行された改正プロバイダー責任制限法(現・情報流通プラットフォーム対処法)で新たな手続きが導入された。一つの手続きで、被害を訴える人の申し立てを受けた裁判所が投稿者の情報開示をSNS事業者などに命じることが可能になった。事業者に対し、投稿者に関する情報を消さないよう命令もできる。
申立件数は年々増え、6月に公表された最高裁のまとめでは、25年の全国の裁判所への申し立ては1万72件だった。前年の6779件から約1・5倍になった。このうち9割超の9343件が東京地裁に集中していた。大半のプロバイダーの本店が東京都内にあるためとみられる。
審理期間は平均約103日
従来の手続きでは開示までに1年ほどかかるケースも多かったという。一方、新たな手続きでは、東京地裁で24年末までに終わった事件の平均審理期間は約103日だった。
東京地裁は24年から、利用者がスムーズに申し立てをできるよう、チェックボックス式の申立書や記載例をウェブサイトで公開している。



