徳島大付属図書館は、収蔵している重要文化財「伊能忠敬測量図」10点の劣化が進み、修復するための資金をクラウドファンディング(CF)で集め始めた。目標額は800万円で、12月28日まで協力を募る。
地図群としての希少性
この測量図群は、昨年9月に徳島大として初めて重要文化財に指定された。地図群としての希少性や、伊能図の発展過程を示す価値が認められたためだ。
伊能忠敬(1745〜1818年)は江戸時代、10次にわたる測量隊を率いて全国を巡り、精度の高い日本地図を作製。没後の1821年に「大日本沿海輿地全図」として幕府に献上された。同図書館は、徳島藩主蜂須賀家の求めで忠敬が献上した地図群を収蔵している。
10点の内訳と劣化の状況
収蔵されているのは、第1〜4次測量で東日本を対象にした「沿海地図」(縮尺21万6000分の1)3鋪、西日本を対象に第5〜7次で測量した「大日本沿海図稿」4鋪、第7次測量後に九州などが描かれた「豊前国沿海地図」(縮尺3万6000分の1)3鋪の計10点。地図を収める桐箱2つとともに重要文化財(美術工芸品)に指定された。
これらの古地図は、各地の大名家に献上された伊能図のうち早期のもので、日本の測量・地図の歴史を考える上で貴重な資料。四国を描いた「大日本沿海図稿(南海)」は縦約1メートル15、横約1メートル50。折りたたまれて桐箱に納められ、献上時の姿をそのまま伝える点も評価された。
しかし、200年以上が経過し、折り目の欠損や破れに加え、糊浮きや虫食いも生じており、このままでは損傷が拡大する恐れがあるという。
修復計画とCFの開始
同図書館は今年度から5年かけて順次修復する計画で、京都国立博物館内の修理所に修復を依頼している。総事業費は3000万円を超える見通しで、国や県、徳島市の補助金などを活用するが、大学の負担が高額になるためCFを実施することにした。
大山陽介・図書館長は「『伊能図』を特別展示や研究公開など地域の宝として活用し、未来に引き継ぐための修復。多くの方に協力をお願いしたい」と呼びかけている。問い合わせや申し込みは、大学支援機構のCFサイト「Otsucle(おつくる)」から。



