2026年5月、プレジデントオンラインで大きな反響を呼んだ人気記事ベスト3が発表された。社会部門の第1位は「やっぱり三越は格が違った…『イタリア展』炎上で見せた、老舗ブランドを守る『一流の謝罪文』の中身」である。
「さすが三越」と言わしめる危機管理術
謝罪においてスピードは極めて重要だが、ただ早ければ良いというわけではない。謝罪の目的は「事態収拾」と「ダメージコントロール」にあり、機械的な対応は消費者に見透かされ、かえって事態を悪化させる。ゴールデンウィーク中、日本橋三越本店の催事で起きた出展テナントの炎上事件において、三越が見せた振る舞いは「スピード」と「質の伴った判断」が融合したものだった。日本を代表する老舗百貨店が自らのブランドをどう守り抜こうとしたのか、その行動は極めて理にかなっており、ブランド防衛において有効な手立てと言える。
「映え」を狙った動画が炎上の火種に
事件は、連休の賑わいを見せていた日本橋三越本店の名物催事「イタリア展」で発生した。出展テナントである高級サンドイッチ店の店長が自らSNSに投稿した動画が炎上の端緒となった。問題の動画には、食品を扱うプロとしては目を疑うような光景が収められていた。手づかみでつまみ食いのように試食する姿や、ヘアキャップなどで髪をまとめることもなく不衛生な状態で調理台に立つ風景が映し出され、食の安全を第一に考える消費者から衛生観念に欠けると批判が集中した。
もし規模の小さい個店であれば、自撮り風の調理シーンや試食する様子は、頑張る店長の親しみやすさやキラキラした仕事ぶり、おちゃめな一面として映え効果を生んだかもしれない。過去にはこうしたインフルエンサー的広報で成功した経験もあっただろう。しかし、今回は違った。SNSで拡散され、5月4日頃にはネット上で炎上騒ぎとなった。個人店ではなく「日本橋三越の催事」という信頼と品格が担保された場所で、高額なデリカテッセンを販売する店舗の情報として、明らかに不適切でうかつだったと言わざるを得ない。自ら広報も担うライブ感の発信力は現代では強みとなる一方、信頼ある老舗百貨店の看板の下で売るという文脈において、顧客が求めているのは「親しみやすさ」よりも「レストラン並みの徹底した衛生管理」と、それに見合う「品格」だったのだ。
謝罪文から伝わる三越の本気と怒り
三越は迅速に謝罪文を発表した。その内容は、単なるお詫びの定型文ではなく、自らの看板を信じる顧客に対し、他人事ではなく「自分事」として断固たる怒りを示すものだった。これこそが「やっぱり三越は一流だ」と言わしめる、老舗の圧倒的なブランド防衛術である。謝罪文からは、三越の本気度と、ブランドを守る強い意志が伝わってきた。東北大学特任教授で危機管理コミュニケーション専門家の増沢隆太氏は、「三越は自らの看板を信じる顧客に対し、断固たる怒りを示した。これが老舗のブランド防衛術だ」と評する。
百貨店のプライドを見せた決断力
三越の対応は、単なる謝罪に留まらなかった。出展テナントに対する厳しい措置や、再発防止策の徹底など、百貨店としてのプライドを示す決断力を発揮した。これにより、顧客の信頼を回復する道筋をつけたのである。増沢氏は、三越の行動を「誠実さが裏目に出た高島屋のケーキ事件」や「虫の混入事件で炎上したペヤング」と比較し、三越の対応の秀逸さを強調する。三越に学ぶべきは、究極の「ブランドを守る謝り方」であり、それはスピードと質の高い判断、そして顧客への誠実な姿勢にある。
この記事は、2026年5月にプレジデントオンラインで公開された人気記事の再配信であり、社会部門で第1位を獲得した。併せて、第2位には「オスグマが持つ『ペニスボーン』とは何か」、第3位には「鉄棒で突き回し、最後は頭を銃で一撃…クマの死体が物語る人間の恐ろしい欲望」がランクインしている。



