関西で一人暮らしをしている20代の女性。彼女の部屋は、ゴミや物で埋め尽くされ、いわゆる「ゴミ屋敷」と化していた。その理由について、彼女は「友達と会えなくなって部屋が荒れた」と語る。ルポライターの國友公司氏が、片付け業者「イーブイ片付けチャンネル」の協力を得て、その実態と背景に迫った。
「ゴミ屋敷」化の理由:友達との断絶が引き金に
彼女は、仕事や人間関係のストレスから次第に外出が減り、友人とも連絡を取らなくなった。すると、部屋の片付けも億劫になり、ゴミが積み重なっていったという。「最初はちょっとした汚れだったけど、気づいたら手がつけられなくなっていた」と彼女は振り返る。彼女の言い訳の裏には、「本当の孤独」が潜んでいた。
片付けのプロが教える効果的な順序
片付け業者の二見氏は、ゴミ屋敷を片付ける際の心理的な順序を説く。「捨てやすいモノから手をつけ、大切なモノは最後に回す」という方法だ。例えば、明らかなゴミから片付け始め、徐々に手を動かすことで、大切だと思い込んでいたモノにも自然と手が伸びるようになる。さらに、「大切なモノは数を決めて残していい」という逃げ道を先に用意することで、周りのモノを捨てやすくなるという。
現場スタッフは物理的な順序として「角から片付ける」ことを実践する。「オセロと一緒で、角を取ったらこっちの勝ち。角から自分のスペースを確保して、中央に向かって攻めていくんです。床がちょっとでも見えると、テンションが上がるはずですよ」とスタッフは語る。実際にゴミ山の中から寝具が発掘された瞬間、達成感が得られるという。
若者の孤独と「頼れる大人」の不在
なぜ若者はゴミ屋敷に陥りやすいのか。二見氏は「頼れる大人がそもそもいない」と指摘する。かつては年上の大人がおせっかいを焼き、よその子に声をかけることがあったが、今はそうした距離の近さが失われた。頼れる人が身近にいないため、最後に残る選択肢が業者になる。「本来なら、その前に頼りたい人がいるはずなんです。でも、私たち(業者)しかいない」と二見氏は語る。
オンラインがなくなっても、別の依存先を探すだけ
二見氏はさらに、現代の若者の依存症についても言及する。「オンラインがなくなっても、別の依存先を探すだけ」という。つまり、根本的な問題は孤独であり、それがゴミ屋敷化や他の依存行動につながっているという。片付け業者は物理的な整理だけでなく、心理的なサポートも必要とされる現場だ。
この女性のケースは、現代社会が抱える孤独の問題を象徴している。誰もが気軽に頼れる大人やコミュニティの存在が、今後ますます重要になるだろう。



