名古屋市で1999年11月、妻・奈美子さん(当時32歳)を殺害された高羽(たかば)悟さん(70)が10月18日、佐賀県鳥栖市で講演する。福岡、佐賀両県の未解決事件の被害者や遺族でつくる団体のイベントで、事件後の日々や容疑者が発生から約26年後の昨年に逮捕された時の思いを語る。高羽さんは「明日、容疑者が逮捕される希望はあると伝えたい」と話す。(相良悠奨、岡林嵩介)
事件現場で振り返る逮捕の日
壁に掛けられたままの99年11月のカレンダー、血痕が残る玄関――。8月下旬、事件現場となったアパートの一室で、急転直下の逮捕となった日のことを、高羽さんは「青天の霹靂(へきれき)だった」と振り返った。
「26年間、お待たせしました」
昨年10月31日、愛知県警西署に突然、呼び出された。目に涙を浮かべた刑事から、「26年間、お待たせしました。今日逮捕できます」と伝えられた。逮捕されたのは、高校の同級生、安福久美子被告(69)だった。事件当日、アパート近くで、傷を負った手を隠すように走り去る中年の女が目撃されていた。県警が女の行方を追ったが、捜査は難航した。
現場を借り続けた理由
事件後に転居してからもアパートの部屋は借り続けた。「いつか容疑者をここに連れてきて、現場検証に立ち会わせたい」との一心だった。これまでに支払った家賃は2000万円を超える。「悲しい顔をしていたら、犯人はほくそ笑む。絶対に屈しない」。気丈に振る舞ったが、真実が分からないまま過ぎていく日々に焦りも感じていた。そんな中、事件は急展開を迎えた。「張り詰めていた糸が解け、すっと肩の荷が下りた」と語る。



