病院虐待の実態不透明、全国統計なし 介護施設は最多1220件
病院虐待の実態不透明、全国統計なし 介護施設は最多1220件

高齢者介護施設や精神科病院では、国が利用者や患者に対する虐待件数を集計し、調査・分析している一方、一般の病院では統計が取られておらず、全国的な被害実態は不透明なままである。

介護施設での虐待、過去最多1220件

介護施設や訪問介護における職員による虐待は、高齢者虐待防止法で職員に通報義務があり、国や自治体が立ち入り検査や指導を行う。2024年度の全国の虐待件数は過去最多の1220件に上り、被害者は2248人に達した。精神科病院での虐待は、2022年改正の精神保健福祉法で通報義務が課され、初めて集計された2024年度は全国で260件だった。

一般病院の虐待統計はなし

厚生労働省によると、精神科を除いた病院での虐待は、医療法に基づき自治体が検査や指導を行うことはできるが、病院側に通報義務はなく、虐待件数の統計も存在しない。例えば、大阪市生野区の優心会厚生病院(40床、内科・リハビリテーション科)では、入院患者への傷害・暴行事件が発生。内部資料によれば、事件当時は人員に余裕がなかったという。

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専門家が警鐘「人手不足がリスク」

東京大学の米村滋人教授(医事法)は「人手不足の医療機関ではスタッフに余裕がなくなり、暴力やネグレクトが起きるリスクがある。国や自治体は精神科以外の病院でも虐待の有無を調査し、背景を分析すべきだ」と指摘する。

被害の表面化困難、氷山の一角か

日本高齢者虐待防止学会理事長の池田直樹弁護士(77)は「入院患者は被害を受けても居場所がなくなることを恐れて打ち明けづらく、虐待が表面化しにくい。事件は氷山の一角ではないか」と懸念。その上で「看護師長などの管理職が、虐待行為や患者にけがをさせかねない『ヒヤリ・ハット』情報を集約・共有し、病院側が自ら虐待の早期発見に取り組むべきだ」と語った。

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