魚が消える国ニッポン、その対策とは?
日本から魚が消えていくのは当然だった…「外国のせい」でも「漁業者のせい」でもない「本当の理由」を考える。公開日時:2026/06/15 07:30
瀬戸内海で漁獲されたマダイ(写真:筆者提供)片野 歩 Fisk Japan CEO/東京海洋大学 特任教授
大きくなる前の魚を獲ってしまう「成長乱獲」
水産資源管理の問題について書いた記事に対して、「日本では小さな魚を獲っているはずがない」「小さな魚を狙っているはずがない」といったコメントがつくことがあります。ところが現実はかなり違います。
冒頭の写真はマダイの干物です。1尾5センチ前後。マダイは大きなものは70センチを超える大型魚です。このマダイの幼魚は大物を狙って獲れたのでしょうか?実際にはかなり細かい網で漁獲されていることは、物理的に考えても想像にかたくありません。なお、サイズ制限があるわけではないので、漁獲自体は違反でも何でもありません。
大きくなる前に獲ってしまう、漁獲枠がないので小さな魚でも根こそぎ獲ってしまう、そもそも実効的なサイズ制限がない——これが現実なのです。大きくなる前の魚を獲ってしまうことを「成長乱獲」と呼びます。
上の小さなマダイの約10倍の50センチのマダイ(写真:筆者提供)みなさんは日々、「成長乱獲」されたさまざまな水産物を口にしています。そのままの形もあれば、すり身になったり、養殖のエサになったりしたものに直接的・間接的に関わっています。
こうした問題を指摘すると、「悪いのは漁業者だ」という声も出てきます。しかし、現在の制度では、小さな魚でも獲れば収入になる構造です。5センチ未満のマダイはほぼ無価値ですが、それでも多少なりともお金になります。
資源管理制度が不十分なため、まず価値の高い大きな魚から漁獲されて減っていきます。そして資源が減る中でも、小さな魚まで漁獲され続けるので、一向に大きくなりません。このため資源がどんどん減っていき、漁獲量も減少していく。この繰り返しです。
ノドグロの本当の大きさは?
あまりに小さなノドグロが獲られている。ノドグロは高級魚として知られるが、本来は50センチを超える大型魚。ところが現在漁獲されるノドグロの多くは20センチにも満たない幼魚である。これも成長乱獲の典型的な例だ。
小さなアジも容赦なく漁獲
アジも同様で、本来なら30センチ以上に成長するが、10センチほどの小型個体が大量に漁獲されている。漁獲枠がないため、根こそぎ獲ってしまう影響は深刻である。
なぜこのようなことが起きてしまうのか?
原因は資源管理の不備にある。漁獲枠の設定やサイズ制限が実効性を持たず、漁業者が経済的に小さな魚に頼らざるを得ない構造が続いている。必要なのは自画自賛ではなく、実効性のある資源管理政策の導入である。



