2022年、歌手のセリーヌ・ディオン氏が公表したことで世界的に知られるようになった希少疾患「スティッフパーソン症候群」。コンピューター関連企業で働く工藤さん(30代)は、この病気の診断にたどり着くまで約3年を要した。
「体中の筋肉が、ずっとこむら返りを起こしているようでした。横になっても、座っていても激痛。このまま死ぬのか、それとも死んだほうが楽なんじゃないかと思うほどでした」
検査を重ねても異常は見つからず、医師から「精神的なものではないか」とまで言われた工藤さん。痛みの正体とは、一体何だったのか。
筋肉痛がなかなか治らない
2017年、新卒でコンピューター関連企業へ入社した工藤さん。中学生くらいから抱える慢性的な腰痛はあるもののおおむね健康体で、好きな仕事に就き、平凡ながら幸せな日々を送っていた。
異変が現れたのは2022年。健康診断で不整脈を指摘されたことが始まりだった。精密検査でも原因はわからなかったが、その頃から肋骨の横の筋肉に違和感を覚えるようになった。
「最初は筋肉痛がなかなか治らないな、くらいだったんです。でも筋肉がつる直前のような張りが、何日も続くようになっていって……」
痛みはやがて首や肩、腰へ広がり、手にも力が入りにくくなっていく。「いつか治るだろう」と思っていた筋肉の違和感は、少しずつ、しかし確実に工藤さんの全身を蝕んでいった。
診断に至るまで
2024年に整形外科を受診した工藤さんは、その後、神経内科など複数の診療科で検査を受けたが、明確な原因は特定されなかった。
最終的にスティッフパーソン症候群と診断されたが、現在も確立された根治療法はなく、指定難病にも含まれていない。
工藤さんは「この病気の認知度が上がり、患者が適切な診断や支援を受けられるようになってほしい」と話している。



