不法移民殺到のスペイン領セウタで治安悪化、住民デモが警察と衝突
不法移民殺到のセウタで治安悪化、住民デモが警察と衝突

モロッコからの不法移民が大量に流入した北アフリカのスペイン領セウタで27日、住民が不法移民による治安の悪化に抗議するデモを実施したが、警察との衝突に発展した。

デモ隊と警察の衝突

スペインの公共放送が放映した映像によると、不法移民数百人が寝起きしている海岸に移動したデモ隊の一部に対し、警察が排除に乗り出した。

これに先立ち、デモ参加者が数十人が座り込みで道路を封鎖し、海岸で寝起きする不法移民に食料を届ける赤十字の車両の通行を妨害した。デモ参加者の多くはスペインの国旗を振り、警察に解散させられるまで、「不法移民は出て行け」「赤十字と一緒に出ていけ」とシュプレヒコールを上げた。

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26日夜にはデモ隊と不法移民が衝突し、警察が止めに入り催涙ガスを使用する事態となった。

軍用車両への待ち伏せ攻撃

わずか18平方キロの広さしかないセウタの住民たちは、不法移民流入に伴う治安悪化や衛生問題をめぐり、定期的に抗議デモを行っている。

セウタ警察によると、27日未明には、スペイン兵4人を乗せた軍用車両が不法移民約70人に「待ち伏せ攻撃」を受け、石などを投げつけられる事件が発生。兵士らは退避して警察に支援を要請し、警察は待ち伏せ攻撃に関与した不法移民12人を逮捕した。12人全員がモロッコ人だった。

石が直撃した兵士1人が軽傷を負った。待ち伏せ攻撃の動機は明らかになっていない。

住民の不満と政治的対立

セウタ市の高官は27日、ラジオ局カデナ・セルに対し、中央政府から「返答がない」ため「セウタ市では緊張が非常に高まっており、住民は見捨てられたと感じている」と語った。ただし、同高官は抗議する権利を認めつつも、敵対心の高まりは危機の解決につながらないと警告し、冷静な対応を呼び掛けた。

7月30~31日にモロッコからセウタに不法移民7万人以上が殺到した。大部分は数時間以内にモロッコへ戻ったが、現在も数千~1万数千人が残留し、多くは路上生活を送っている。

残留する不法移民の数について、左派が率いる中央政府は3500~7000人と主張しているが、右派が率いるセウタ市政は1万人以上だと主張している。

来年に総選挙を控えるスペインで、この危機は政治的対立を激化させており、中道右派の野党・国民党(PP)や極右政党「ボックス(VOX)」は不法移民全員の即時強制送還を求めている。

一方、左派・社会労働党率いる中央政府は、難民に当たるか強制送還対象かを判断するには一人ひとりの身元確認が必要であり、数千人の未成年者には特別の保護が必要だと主張している。

左派のペドロ・サンチェス首相に対しては、不法移民の大量流入への対応が遅すぎるとして、セウタの当局と住民が不満を募らせている。サンチェス氏は治安危機がくすぶる中で夏休みを優先し、今週前半に復帰してからようやく国家安全保障会議を招集した。

中道右派の野党・国民党(PP)のアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首は27日、X(旧ツイッター)に、「セウタの住民は1か月間、中央政府の助けなく耐え続けている」と投稿。「侵略を防ぐための措置が何も講じられず、連日悪化する治安危機を止めるための対策も何もなされていない」と非難を強めた。

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