若き戦友の死を胸に、小腸がん患者へ希望を伝え続ける理由
若き戦友の死を胸に、小腸がん患者へ希望を伝え続ける理由

24歳の若き「戦友」が、8月上旬にこの世を去った。私と同じ小腸がんを患っていた。突然の訃報に言葉を失った。

ネット番組がつないだ縁

彼と東京都内で初めて会ったのは、令和7年1月のことだ。きっかけは、がん患者が出演するネット番組に以前、私が出演したことだった。6年11月、番組関係者から連絡があり、彼が私に会いたがっていることを知った。彼は腹膜にがん細胞が散らばる腹膜播種になり、ステージは「4」。私と同じだった。

連絡先を伝えると、父親から早速メールが届いた。「息子は生きようと頑張っています。なんとか会って話をしてほしい」

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小腸がんは希少がんで情報が少ない。私も10年前に告知されたとき、情報の少なさに不安が募った。彼に自分を重ねた。

最後のメッセージ

大阪府内の病院にかかっていた彼は、父親、結婚を考えている彼女とともに東京まで足を運んでくれた。私は「生きることに執着してほしい」と激励した。その後、SNSで連絡を取り合った。

昨年10月、CT検査の結果について「小腸がんが見えなくなっていました!」と知らせてくれた。喜んでいる表情が目に浮かんだ。この時の「油断せず、先生と相談しながらしっかり治療を続けていきます」が最後のメッセージとなった。

伝えることの意味

父親から今月、訃報のメールを受け取った。「そちらでお会いしたことは(息子にとって)前向きに生きられるきっかけになりました。このような結果になり残念です。坂井さんはそのままずっとずっとお元気でいてください」

涙がこみ上げた。同時に自らの無力さを感じた。生きる希望を与えることは罪なことなのか。そんなことも思った。すると、彼の母親は「(息子は)最後の最後まで生きることを諦めませんでした」と私に伝えてくれた。

同じ頃、旧友から「友達が小腸がんの手術をした。抗がん剤治療をするか悩んでいる」との連絡を受けた。その患者とSNSでやり取りする中で、「頑張る気持ちがわいてきた」との返事があった。

医師ではない私が命を救えるわけではない。それでも、同じ病を経験した者だからこそ伝えられる言葉がある。それが生きようとする人の力になるのなら、伝えることに意味はある。私はそう自分に言い聞かせた。

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