あごの歪みが引き起こす慢性疲労のメカニズム
多くの人が悩む首こりや肩こり。マッサージや整体に通ってもすぐにぶり返してしまう経験はないだろうか。その原因は、意外にも「あご」にあるかもしれない。さつま骨格矯正Group総院長の薩摩宗治氏と、医療法人社団碧心堂やすふみ歯科クリニック院長の馬場裕史氏によると、あごの歪みやストレートネックの悪化に拍車をかけるのが、仕事中の過度な集中やストレスによって生じる「無意識の食いしばり」だという。
本来、筋肉がリラックスしていれば、上下の歯の間に2〜3ミリの隙間ができるのが自然な構造だ。食事や会話を含め、一日のなかで上下の歯が触れ合っている時間は本来「20分以内」と言われている。しかし、多くの人はデスクワーク中に上下の歯が軽く接触した状態が長く続く「TCH(上下歯列接触癖)」という自覚しにくい小さなクセを持っている。
食いしばりがもたらす身体への影響
歯は髪の毛一本の接触すら感知する超精密センサーであるため、ほんの少し歯が触れるだけで脳には強力な咀嚼指令が送られる。その結果、無意識のうちに上下の歯を強く噛みしめてしまい、あごには体重の1.5〜2倍もの強大な負荷がかかる。
さらに睡眠中の無意識の食いしばりや歯ぎしり(ブラキシズム)では、最大で自分の体重の2倍以上ものすさまじい力がかかっているとも言われている。この持続的な刺激によって、咀嚼筋(咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋)が過剰に緊張し続けると、あごがズレて重心のバランスが崩れる。
交感神経のスイッチが入りっぱなしに
さらに厄介なのが、首の頸椎1番・2番にある「交感神経のスイッチ」が入りっぱなしになることだ。これにより身体は常に過緊張状態に陥り、夜になっても副交感神経に切り替わらず、睡眠不足や血流悪化による慢性疲労を引き起こす。咬筋と頸椎は連動しているため、あご側に首が引っ張られ続けて首のカーブを消失させ、頑固な首・肩こりを自ら作り出してしまう。
どれだけ整体に通って表面の筋肉をほぐしてもすぐに戻ってしまう理由はここにある。疲れから回復できる機能的な身体を取り戻すためには、骨格のリセットボタンである「あご」の緊張を解き、歪みを根本から整えるアプローチが不可欠なのだ。
あごにやさしいガジェット紹介
あごによく効く「さつま家電」として、あごにやさしいガジェットを紹介するコーナー。第1回目はトラックボールマウスのNape Proだ。薩摩氏は「自作キットとして販売されていた時代から愛用しているトラックボールデバイスです。分解キーボードの真ん中に置くこともできるので、左右バランスの取れた姿勢調整がしやすくなります。手元の合計6つのスイッチに自分が好きな機能を割り当てることができるのも便利!」とコメントしている。



