熱中症対策のつもりが危険も…スポーツドリンクの飲みすぎに警鐘
熱中症を防ぐには水分補給が欠かせないが、何を飲むかが重要だと産業医の池井佑丞氏は指摘する。特にスポーツドリンクは汗で失われた水分や電解質を効率良く補える一方で、飲む場面や量を誤ると「ペットボトル症候群」と呼ばれる急性の糖尿病状態を引き起こし、最悪の場合死に至る可能性もあるという。2025年の夏は観測史上最も暑く、熱中症による救急搬送者は全国で10万510人に達し、過去最多を記録した(総務省消防庁, 2025)。
熱中症の発生場所は「住居」が最多、現役世代も油断できない
搬送者のうち57.1%は65歳以上の高齢者だが、18~64歳の現役世代も33.9%(約3万4000人)を占める。発生場所で最も多かったのは「住居」(38.1%)で、自宅やオフィスといった日常生活の場が熱中症リスクにさらされていることを示している。池井氏は「熱中症は高齢者だけの問題ではなく、すべての人にとって身近な健康リスクだ」と警鐘を鳴らす。
「コーヒーやお茶は水分補給にならない」は誤解
一般的にコーヒーや緑茶は利尿作用があるため水分補給に不向きとされるが、池井氏は「適量であれば問題ない」と説明する。カフェインの利尿作用は一時的で、摂取した水分量を大きく下回ることはないため、水分補給の一部として活用できる。ただし、メインの水分源としては推奨せず、あくまで補助的な役割にとどめるべきだという。
スポーツドリンクの「誤解」と「ペットボトル症候群」のリスク
スポーツドリンクは糖分と電解質を多く含むため、激しい運動や大量発汗時には有効だが、日常生活での過剰摂取は危険を伴う。池井氏は「のどが渇いたからといってスポーツドリンクをがぶ飲みすると、糖分の摂りすぎで血糖値が急上昇し、ペットボトル症候群(急性糖尿病)を引き起こすことがある」と警告。症状は口の渇き、多尿、倦怠感などで、重症化すると意識障害や昏睡に至るケースもある。
場面に応じた飲み物の使い分けが鍵
池井氏は、水分補給の基本は「のどが渇く前にこまめに飲むこと」と強調。具体的には、普段の生活では水や麦茶をメインにし、汗をかく運動や屋外作業ではスポーツドリンクを適量摂取するよう推奨する。また、経口補水液は脱水症状が疑われる場合に有効だが、日常的な使用は糖分や塩分の過剰摂取につながるため注意が必要だ。
熱中症のメカニズムと正しい予防法
人間の体は高温多湿環境で体温調節機能が追いつかず、深部体温が上昇して熱中症を発症する(厚生労働省)。症状はめまいやこむら返りから、意識障害やけいれん、高体温といった生命に関わる重篤な状態まで幅広い(Bein, 2024)。池井氏は「水分補給だけでなく、エアコンの適切な使用や塩分補給も併せて行うことが重要」と述べている。



