健康的な食事とは何か――岐阜大学名誉教授で循環器専門医の湊口信也氏は、海藻に豊富に含まれる食物繊維やミネラル、さらには血管を守る機能性成分に注目する。9万人を対象とした調査では、海藻を多く食べる人ほど脳卒中や心血管病による死亡リスクが低いことが示されたという。
世界が注目するスーパーフード
海苔、ワカメ、コンブ、ヒジキ、モズクなど、日本では古くから親しまれてきた海藻。伝統的に日本、中国、韓国、台湾、東南アジアで消費されてきたが、近年は西洋諸国でも心血管病予防や長寿効果への期待から食事に取り入れられるようになっている。海藻は「海の野菜」とも呼ばれ、緑藻(アオサ、ウミブドウ、ミル)、褐藻(コンブ、ワカメ、ヒジキ、モズク、アカモク、アラメ)、紅藻(海苔、テングサ、トサカノリ、エゴノリ、フノリ)など多様な種類がある。
心臓病や脳卒中を遠ざける成分
海藻は低脂肪であり、高ポリサッカライド、繊維、多価不飽和脂肪酸、ミネラル、ビタミン(B12、C、E)、カロテノイド、フィコビリン、ステロール、トコフェロール、ポリフェノール、クロロフィル、フィコシアニンなどを含む。これらの成分は血管内皮細胞を保護し、脳心腎疾患の予防・治療に役立つと報告されている。
フコイダンの力
モズクなどの紅藻に含まれるフコイダンは、中性脂肪・総コレステロール・悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを上げる作用があり、動脈硬化を防ぐ。さらに抗炎症作用、抗凝固作用、抗血管増殖作用、抗接着作用を持ち、腫瘍転移を抑制する。また、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)を遊離して血栓を溶解するため、脳卒中や冠動脈疾患の予防につながる。
9万人の食事と死亡リスクの関係
湊口氏の研究では、約9万人の食事データを分析。その結果、海藻摂取量が多いグループは少ないグループに比べ、脳卒中による死亡リスクが約30%低いことが判明した。また、心血管病全体の死亡率も有意に低下していた。野菜だけでは得られない海藻独自の効果が、健康寿命を延ばす鍵となる。
海藻は日常的に取り入れやすい食材だ。みそ汁やサラダ、酢の物、煮物などに一品加えるだけで、手軽に健康効果を高められる。湊口氏は「和食の主役とも言える海藻を、積極的に食べてほしい」と勧めている。



