肺がんの現状と早期発見の重要性
日本人の死亡原因の第一位はがんで、約2人に1人が生涯でがんにかかり、3人に1人ががんで亡くなっています。部位別で最も死亡者数が多いのは肺がんです。早期発見で完治が可能な時代になりつつあるものの、進行期に診断されるケースが依然として多く、肺がんも例外ではありません。
なぜ肺がんは早期発見が難しいのか
肺の内部(実質)には痛みを感じる知覚神経がほとんどないため、小さながんでは症状が現れにくいのです。気管支や胸膜など周囲の組織に影響が及んで初めて、胸痛や長引く咳、血痰、息苦しさなどの症状が出ることが多く、その頃には進行している場合も少なくありません。
手術治療が可能な条件
肺がんの治療では、手術で取り切れるかどうかが鍵を握ります。手術が検討される主な条件は、がんの範囲が限られていること、患者が手術に耐えられる全身状態であること、転移がないことです。小さながんほど手術の可能性が高く、胸腔鏡手術(VATS)やロボット支援下手術(RATS)などの低侵襲手術が選択できるため、体への負担が少なく、早期の社会復帰が期待できます。
早期発見につながる人の特徴
- 健康診断や画像検査を定期的に受けている:症状のない段階で発見するには、肺がん検診(胸部X線検査)や人間ドックが有効です。胸部X線では1cm程度の病変が検出可能で、毎年の継続が重要です。近年は低線量CT検診の導入も進んでいます。
- 「肺の影」をきちんと精査している:胸部X線で影が指摘された場合、良性病変の可能性もありますが、CTなどの精密検査で確定診断を受けることが不可欠です。
発見が遅れやすい人の特徴
- 症状がないからと検診を受けない:早期肺がんは無症状なため、「症状がないから大丈夫」と放置すると、発見が遅れるリスクが高まります。
- 検診結果をそのままにしてしまう:「要精密検査」の通知を無視して数年放置し、症状が出てから受診した時には手術不能な進行がんとなっているケースが少なくありません。
専門医からのメッセージ
呼吸器外科専門医の大亀剛先生(一宮西病院)は、次のように述べています。「自覚症状がなくても検診で肺がんが見つかり、早期に低侵襲手術を受けて短期間で日常生活に戻られる方がいる一方、『要精密検査』を放置して症状が出てから受診し、手術適応外となるケースも多く経験します。肺がんは早期に自覚症状が出にくいため、『症状がないからこそ検診を受ける』という意識を持ち、『肺の影』を指摘されたら速やかに呼吸器専門医を受診してください。また、禁煙は肺がん予防に最も効果的な取り組みです。この機会に喫煙習慣を見直していただければと思います。」
肺がんによる死亡リスクを下げるために、定期的な検診と適切な精密検査の徹底が何より重要です。



