マッサージや整体に通っても、首や肩のこりが繰り返しぶり返す――そんな悩みを抱える人は少なくありません。その原因は、意外な場所にあるかもしれません。それは「あご」です。あごの不調が全身の骨格や筋肉の凝りに大きな影響を与えるメカニズムを、専門家が解説します。
筋膜のつながりが全身を支配する
なぜあごの不調が全身に影響するのでしょうか。その鍵を握るのが「筋膜(ファシア)」です。筋肉は筋膜という膜を介してチェーンのように全身で連結されています。筋膜はすべての細胞を包み込み、骨格がなくても人の形を保つと言われるほど、身体の形を決める重要な組織です。そして、あごや頭部の周辺は、眉上から背中、足裏までをつなぐ筋膜ラインの「最上流」に位置しています。
あごは全身タイツの最上部
この仕組みを理解するために、身体を「全身タイツ」で考えてみましょう。タイツの一番上、つまりあごの部分を手で強く握りしめると、その「引きつれ」はどんどん下へ伝わり、背中やつま先の生地までが突っ張って動きが制限されます。人間の体内でも同じことが起きています。あご周辺の筋膜が過度な緊張や悪いクセで硬く縮こまると、強い引きつれが首を前方に引っ張り、ストレートネックを引き起こします。さらに、肩を内側に巻き込んで猫背を定着させ、最終的には骨盤の傾きや慢性的な腰痛にまで波及します。
マッサージだけでは根本解決にならない
このようにあごから始まる引きつれが起きている状態で、背中や腰をいくらマッサージしても根本的な解決にはなりません。姿勢のクセを根本から正すには、リセットボタンである「あご」の緊張を解くことが先決です。あごを起点として整えることで、全身の骨格は正しい形へと徐々に再構築されていきます。
薩摩骨格矯正Group総院長の薩摩宗治氏と、医療法人社団碧心堂やすふみ歯科クリニック院長の馬場裕史氏によると、うつむき続けることは5歳児を頭に乗せているのと同じ負荷がかかるとされ、あごの状態が姿勢に与える影響は計り知れません。
まとめ
首こりや肩こりに悩む人は、あごの緊張をほぐすことで全身のバランスが改善される可能性があります。筋膜の最上流であるあごをリセットすることが、慢性的なこりからの解放への第一歩となるでしょう。



