ビタミンCの効果と注意点:医師が解説
「肌にいい」「風邪予防になる」と信じてビタミンCを摂取している人は多い。しかし、その効果には科学的な根拠と限界がある。内科医の谷本哲也氏が、ビタミンCの真の効果と注意点を解説する。
ビタミンCの基本的な働き
ビタミンCは、鉄の吸収を助けるため、貧血が気になる人には鉄分を含む食品と野菜や果物を組み合わせることが重要だ。さらに、抗酸化作用や免疫強化作用も持つ。体内では酸化ストレスによって細胞のDNA、たんぱく質、脂質などが傷つくが、ビタミンCはこのダメージを抑える。また、免疫細胞の一種である好中球(白血球)が病原体を取り込んで無害化する過程にも関与する。
近年注目されているのは、遺伝子への関与、いわゆる「エピジェネティクス」と呼ばれる仕組みだ。ビタミンCは、遺伝子のスイッチをオン・オフする酵素を助け、細胞の働きを適切に調整し、炎症や老化に関わる反応を抑える可能性があると考えられている。
ビタミンC神話の起源
ビタミンC摂取の重要なポイントは、「不足すると何らかの症状が現れる」ことと、「たくさん摂れば風邪もがんも防げて肌もきれいになる」ことは同じではない、ということだ。この「ビタミンC神話」を広めたのは、ノーベル賞を2度受賞した化学者ライナス・ポーリングである。彼は1970年代に「ビタミンCの大量摂取が風邪などに有効」と主張し、世界的なビタミンCブームを巻き起こした。しかし、その後の臨床研究では大きな成果は認められていない。
風邪予防とビタミンCの科学的エビデンス
例えば、代表的な29試験を集めた国際的な大規模研究では、1日0.2g(200mg)以上のビタミンCを定期的に摂取した1万1306人を解析したが、一般の人では風邪の発症率は明確には下がらなかった。「ビタミンCを摂れば風邪を防げる」とは言えなかったのだ。
一方、風邪をひいた後の期間については、少し効果が示された。31試験・9745エピソードの解析では、定期的に1日1g(1000mg)程度のビタミンCを摂っていた成人の8%、小児の14%で、風邪の期間が短くなっていた。5日続く風邪が半日弱短くなる程度(成人の場合)で、劇的な効果とは言えないが、効果は認められている。
注意すべき点
ビタミンCを過剰に摂取すると、下痢や胃腸障害を引き起こす可能性がある。また、腎臓に持病がある人は、シュウ酸の排泄が増えて腎結石のリスクが高まるため注意が必要だ。適切な摂取量を守り、必要に応じて医師に相談することが大切である。



