ヘイトスピーチ解消法の施行から10年が経過したが、悪質なヘイトスピーチは後を絶たない。この問題に詳しい島田度弁護士(札幌弁護士会)は「危うい社会に生きている」と危機感を抱く。
理念法としての意義
同法は罰則規定のない理念法として批判されたが、島田弁護士はその意義を強調する。法の理念が公共の場での広告掲示や自治体の条例制定につながり、差別言動をめぐる裁判では賠償額の増額にも寄与しているという。「理念に魂が注入されて、裁判で良い結果をもたらす。確実に意義のある法律だ」と述べる。
標的の拡大と新たなデモ
2010年代、札幌の大通公園では在日朝鮮人を標的にしたヘイトデモが頻発したが、解消法の成立後は下火になった。新型コロナ禍で街頭デモはほとんど見られなくなった。しかし、その後は埼玉県のクルド人へのヘイトスピーチが始まり、同様のデモが各地で増加。選挙の場でも移民排斥の言動がわき起こり、道内各地で「移民反対」を唱えるデモが行われている。
島田弁護士は、ヘイトの標的が在日朝鮮人から外国ルーツの人々全体へと広がった現状を指摘する。



