文部科学省は次期学習指導要領で高校の国語に関する科目を大幅に再編する。選択科目によって小説などの文学作品を学ぶ機会が少ない現状を是正する狙いだ。文学に触れることで豊かな表現力や創造性が育まれる。その「復権」を歓迎したい。
現行指導要領の問題点
次期学習指導要領は小学校で令和12年度から、高校では14年度から順次実施される。最近の国語教育は小中学校段階から論理的思考やコミュニケーション能力の育成が重視され、教科書にも評論文や説明文など実用的文章が多く掲載されるようになった。
先ごろ結果が公表された経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査でも、読解力は文章や統計資料から情報を読み取る論理的思考力を問うている。現行指導要領ではこうした力を育む観点から高校1年生中心の必修科目に加え、主に2、3年生で学ぶ選択科目で論説文中心の「論理国語」のほか、小説など文学的文章が載る「文学国語」などが設けられた。
履修率の差と再編の内容
しかし履修率は、大学入試でその分野の出題が多いとされる「論理国語」が推計77%に対して、「文学国語」は同49%と開きが出ている。両方履修すればいいのだが、特に理系志望者は実態として「文学国語」を選択せず、文学に触れる機会があまりないという。
次期指導要領では必修の「現代の国語I」「言語文化I」のほか、選択科目を現行4科目から6科目に増やし2、3年でも小説、古典などを含め幅広く学べるよう工夫して再編する。
文学の意義と今後の期待
国語の授業をめぐっては、以前は小学校段階から小説の登場人物の気持ちを考えるなど文学的読解に偏り、相手に情報を伝える力に欠けるなど弊害が指摘されてきたのは確かだ。現行指導要領はその反省に立ったものだが、逆に文学の食わず嫌いの生徒を生んでいなかったか。
小中時代を含め夏目漱石「坊っちゃん」や森鷗外「舞姫」など教科書に掲載された作品をきっかけに文学の世界に惹かれた人は多いだろう。文学は知を開き、情操を養い、徳性を育て、人生の師ともいわれる。多感な高校時代に文学に触れる意義は大きい。大人も子供もスマホ画面にくぎ付けで読書離れが進む中、文学に親しむ重要性を再認識したい。



