空き家900万戸、自治体が独自課税へ 寝屋川市が全国初の市全域対象
空き家900万戸、自治体が独自課税へ 寝屋川市が全国初

大阪府寝屋川市は、市全域を対象とする「空き家流通促進税(空き家税)」の条例案を可決した。京都市に続く自治体独自課税の動きで、全国初の市全域対象となる。背景には、国内の空き家が約900万戸に上り、歯止めがかからない現状がある。

寝屋川市が条例可決、全国初の市全域対象

寝屋川市議会は7月9日、居住実態のない空き家に課す「空き家流通促進税(空き家税)条例案」を全会一致で可決した。広瀬慶輔市長は「大都市のベッドタウンは居住地の確保が課題。空き家問題に一石を投じたい」と意欲を示した。

新条例は、課税により空き家の増加を防ぐ一方、所有者に売却や賃貸を通じ市場への流通を促し、新たな住民の受け皿確保につなげる狙いがある。総務相の同意を経て、早ければ令和11年度の導入を目指す。

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市特有の事情と課税の仕組み

寝屋川市は大阪市のベッドタウンとして発展。昭和35年に約4万6000人だった人口は、50年には約25万3000人と15年で5倍以上に増えたが、現在は約22万人にとどまる。市域が約24平方キロ余りと狭く、新たな住宅地開発の余地が少ないためだ。

空き家税は自治体が条例を設けて独自に徴収する法定外普通税で、一定期間居住がなく売却や賃貸に出されていない市内全域の空き家所有者に負担を求める。空き家約6600戸が課税対象で、税収は年間約1億4000万円を見込み、空き家撤去費の補助などに充てる予定。税率は35%で、固定資産税とは別に徴収する。

空き家増加の背景と国の対策

総務省の住宅・土地統計調査によると、令和5年の全国の空き家数は過去最多の900万戸に上り、平成5年の448万戸から30年で倍増した。解体費用の負担に加え、更地にすると固定資産税の負担が増える税のゆがみがネックとなり、望まぬ相続の末に放置されるケースが後を絶たない。

政府は平成27年施行の「空き家対策特別措置法」で「特定空き家」の制度を導入し、令和5年の改正で「管理不全空き家」の枠組みも新設。6年4月から相続登記を義務化したが、抜本的な解決策にはなっていない。

今後の課題と専門家の見方

寝屋川市は登記や住民票、水道使用量などのデータに加え、現地調査を行うなどして対象物件を割り出す想定だが、転勤などで一時的に住んでいない場合の線引きなど制度設計の詳細は今後詰める。市の担当者は「課税を実際に開始するまでの間に、市内の全家屋を調べ直さなければならない」と話す。

近畿大の寺川政司准教授(地域都市計画論)は「空き家は個人の財産だが、放置すれば倒壊や火災の延焼など地域のリスクとなる。私権の尊重だけでなく公的な課題としての認識が必要だ」と指摘。「税を課す以上、自治体は税収を防災や街づくりに還元し、使途の『見える化』を図るべきである。二重課税的な不満を払拭しなければ、制度は機能しない」と述べた。

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