先日、ロシアの首都モスクワにある「宇宙飛行士記念博物館」を訪れた。旧ソ連からロシアに至る宇宙開発の歴史を伝える施設だ。世界初の人工衛星スプートニクや人類史上初の有人宇宙飛行を達成したガガーリンが着用した宇宙服、ソユーズ宇宙船などが展示され、子供時代に抱いていた宇宙への憧れがよみがえった。
日露協力の展示と隔世の感
ただ、複雑な思いを抱かざるを得ない展示もいくつかあった。一つは国際宇宙ステーション(ISS)の建造の歴史を紹介したコーナーだ。コーナーには日本の国旗も飾られ、宇宙開発分野での日露協力が強調されていた。ウクライナ侵略などを巡って過去最悪水準まで悪化している現在の日露関係を考えれば、「隔世の感」は否めなかった。
ロケット技術と軍事転用の現実
歴代の打ち上げロケットの模型を展示したコーナーではさらに気分が曇った。打ち上げロケットと弾道ミサイルの基本構造は同じだ。米ソ・米露の宇宙開発は、軍拡競争の一側面でもあった。そこで培われた技術が現在のウクライナへの弾道ミサイル攻撃に使われていると思うと、やり切れない思いがした。
宇宙の平和利用の理想の空疎化
かつて叫ばれた「宇宙の平和利用」という理想は既に空疎化し、ロシアや中国、米国などは現在、宇宙での覇権を競っている。宇宙さえも争いの種にする人類に暗鬱とした思いを禁じ得ない。(小野田雄一)



