地政学で世界の力学を読み解く:アメリカの圧倒的優位性
東洋経済オンラインの公式YouTubeチャンネルで、国際政治記者の田中孝幸氏をゲストに迎え、地政学の視点から世界の行動力学を解き明かす特別番組が公開された。田中氏はベストセラー『13歳からの地政学』や『世界を解き明かす地政学』の著者であり、世界各地で取材を重ねてきた。番組では立体地図を用いながら、2026年2月のアメリカによるイラン攻撃や台湾有事のリスクなどを徹底解説した。
田中孝幸氏:ロシアから入国禁止の制裁対象に
田中氏はロシアが侵略中のウクライナで現地取材を続け、2025年11月にロシア政府から入国禁止の制裁対象に指定された。番組冒頭では、ロシア政府の対応に触れつつ、地政学の基本概念である「シーパワー(海洋国家)」と「ランドパワー(大陸国家)」の違いを説明。海洋国家は交易と開放性を重視し、大陸国家は防衛と閉鎖性を重視する傾向があると指摘した。
プーチンと習近平が強権を振るう理由
田中氏は、プーチン大統領と習近平国家主席が強権を振るう背景として、両国がランドパワー国家であり、広大な陸地を統治するために中央集権的な体制が必要であることを挙げた。特にロシアは国土の広さゆえに外部からの侵略リスクに常にさらされ、強力なリーダーシップが求められるという。一方、アメリカはシーパワーとランドパワーの両方の特性を持ち、圧倒的な軍事力と経済力を背景に「今世紀もナンバーワンであり続ける」と分析した。
イラン攻撃の理由:地形とイスラエルの存在
2026年2月のアメリカによるイラン攻撃について、田中氏は「イランは天然の要塞のような地形で、最新の攻撃技術をもってしても地形を克服するのは難しい」と解説。攻撃の最大の要因としてイスラエルの存在を挙げ、イランが中東で影響力を拡大していることへの対抗措置だと述べた。また、トランプ大統領がオバマ政権のイラン政策を覆す意図があったことも背景にあると指摘した。
台湾有事と世界経済へのリスク
中国の台湾に対する「核心的利益」という位置づけについて、田中氏は「台湾の3分の2は山岳地帯で、上陸作戦は極めて困難。中国軍は一人っ子政策の影響で兵站に課題を抱えるが、ロボットAIが軍隊を代替する可能性もある」と分析。台湾海峡の有事は半導体サプライチェーンを寸断し、世界経済に壊滅的な打撃を与えるリスクがあると警告した。
21世紀は「太平洋の世紀」
番組の最後に田中氏は、21世紀は太平洋地域が世界の中心になると予測。「海の深さが地政学上重要で、太平洋は深い海であり、潜水艦の活動に適している。アメリカは太平洋で覇権を維持するために同盟国との連携を強化している」と述べた。視聴者へのメッセージとして「地図を見る視点を変えるだけで、世界のニュースの理解が深まる」と語った。



