中国、南シナ海スカボロー礁に構造物設置 人工島造成準備か フィリピン警戒
中国、南シナ海スカボロー礁に構造物設置 人工島造成準備か

中国は2026年5月、南シナ海のフィリピン西方沖に位置するスカボロー礁に浮遊式の構造物を設置した。6月には撤去されたものの、ブイやアンテナのような物体も確認されており、フィリピン側では人工島造成の準備段階ではないかとの警戒感が高まっている。

中国の動きとフィリピンの懸念

中国は2025年9月、スカボロー礁の一部を「国家級の自然保護区」に指定。以降、実効支配を強める動きを加速させている。フィリピンの政策研究機関「国際開発・安全保障協力」のチェスター・カバルサ代表は、「中国が将来の埋め立てに備え、海底測量など必要なデータを収集し終えた可能性がある」と指摘する。

仲裁判決後の融和外交から強硬姿勢へ

2016年7月、仲裁裁判所が中国の南シナ海における主権主張を否定した後、中国は国際社会の批判をかわすため、東南アジア諸国に対する融和外交に転じた。南シナ海での紛争防止に向けた「行動規範」の策定に積極姿勢を見せ、仲裁提訴国であるフィリピンのドゥテルテ政権(当時)に経済協力を持ちかけ、取り込みを図った。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

しかし、2022年に発足したフィリピンのマルコス政権は米比同盟の強化を最優先。比国内で米軍が使用できる拠点を4か所増やし、日米との軍事演習を実施したため、習近平政権は猛反発。この数年間、スカボロー礁周辺でのフィリピンへの嫌がらせ行為が続いている。

スプラトリー諸島やパラセル諸島でも現状変更

中国はスカボロー礁以外でも現状変更の動きを強めている。2020年には、軍事拠点化を進めるスプラトリー(南沙)諸島を管轄する行政区として「南沙区」などを新設し、行政権が及んでいることを宣伝した。

中国とパラセル(西沙)諸島で領有権を争うベトナムは、2025年以降、米国のトランプ政権による高関税などを背景に対中関係の強化に動いている。中越間で南シナ海問題の紛争は表面化していないが、ベトナム政府は2026年3月、中国が同諸島アンテロープ礁で大規模な人工島の造成を進めているとして「完全に違法かつ無効だ」と強く抗議した。人工島に2700メートル級の滑走路が整備されるとの見方があり、両国の新たな対立の火種になる可能性が高い。

中国の戦略と軍事行動

中国外務省の毛寧報道局長は7月10日の記者会見で、仲裁裁判所判決について「無効で拘束力はない」と改めて主張した。中国が南シナ海に執着するのは、海上交通路を掌握するとともに、対米抑止のための軍の活動海域を確保する狙いがある。

中国軍が7月6日に強行した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)実験の発射海域は、南シナ海の北端に位置する海南島の沖合だったとされる。同島には中国の戦略原潜の基地があり、米本土を射程に入れるSLBMを搭載し、南シナ海などで常態的に潜航を続けている可能性がある。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ