ウクライナ軍の無人機による製油所攻撃が続くロシアで、ガソリンの販売制限や価格高騰がほぼ全土に広がり、隣国カザフスタンやベラルーシにも影響を及ぼし始めている。プーチン政権は環境基準の引き下げや輸入拡大などの対策を打ち出したが、専門家は「焼け石に水」と指摘する。
プーチン大統領、対策協議でいら立ち
プーチン大統領は8日、オンラインでの対策協議で、供給網の改善や補助金を検討するとした副首相らに対し、「検討ではなく、迅速に決定を下してほしい」といらだった口調で指示した。ロシア政府は6月の対策会議で備蓄燃料を放出してきたが、価格上昇は収まらない。
独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ欧州」によると、燃料不足はロシアの9割以上の地域に広がっている。夏季には1日あたり約11万トンのガソリンが必要とされ、その約2割が不足しているとの見方もある。
近隣国への影響拡大
別の独立系メディアによると、南に隣接するカザフスタンでは、燃料を買い出しに訪れるロシア人が増加。ガソリンスタンドに長い列ができる映像がSNSで拡散された。ロシア人が携行缶で規定量以上を持ち出す違法行為も多発している。
西隣のベラルーシでもロシアナンバーの車両が増え、価格上昇の報道を受けて不足を懸念する声が出ている。
政府の対策:環境基準引き下げと輸入
ロシア政府は2日、販売を認めるガソリンの環境基準を約10年前の水準まで引き下げた。さらにガソリン輸入も進め、ロイター通信によるとベラルーシからの供給増加が見込まれ、インドからはタンカー2隻が出発した。また、8日にはディーゼル燃料の輸出を禁止した。
根本原因は製油所被害と制裁
プーチン政権は「パニック買い」や物流の問題を原因と主張するが、独立系メディア「メドゥーザ」によると、国内の上位10か所の製油所がすべて無人機攻撃の被害を受けており、供給不足が深刻化しているのが実態だ。
製油所の修復には欧米の制裁により必要な部品の調達が困難で、ウクライナの無人機攻撃の射程が延びる一方、ロシアの防空体制は手薄になっている。軍事専門家からは「無人機を広範囲に追跡する体系的なシステム構築が必要」との指摘も多い。



