中国からの訪日客が減少している要因は、日中関係の緊張だけではない。今回は、中国人富裕層が感じる日本観光の不満点と、その背景を探る。
コロナを機に変わった“中国人が求める日本像”
訪日ブームはコロナを境に2つのフェーズに分けられる。第1フェーズは2019年までで、経済成長を背景に「上質な暮らし」を求める観光客が多かった。特に若い世代は、わび・さびの哲学や秩序、清潔感、美的センスを満たす日本へ強い関心を示した。
一方、2023年以降のコロナ後は団体旅行者が消え、個人客が中心となった。その内訳は、①日本の大ファンで年5~6回訪れる層、②円安を活かした爆買い層、③映えスポットを巡る若年層の3タイプに分類される。
減少のもう一つの要因
訪日中国人客数は今年第1四半期に107万人と、昨年同期の236万人から半減した。全体の訪日客数が増加する中での減少は、日中関係の緊張だけでなく、①の「ファン層」が戻っていないことが一因だ。彼らは経済力が高く円安も歓迎するはずだが、コロナ後は日本旅行に満足できていないという。
中国国内観光の台頭
中国では近年、国内でも高品質な旅行体験が可能になった。北京の観光業者は「日本での体験を思い出し起業した」と語るように、没入型の文化体験が人気を集めている。一方、日本の観光は「見るだけ」の受動的なものが多く、中国人富裕層の期待に応えきれていない。
今後の日本観光には、より深い体験やインタラクティブな要素が求められている。



