中国のレアアース戦略:トリウムとEVを組み合わせた開発の歴史と未来
中国のレアアース戦略:トリウムとEVの組み合わせ

政治・経済・投資の分野で注目される中国のレアアース戦略。レアアースとトリウム、そしてEVを組み合わせた開発の歴史を紐解く。本記事は約8分で読める。

中国が「トリウム」をどう扱ったか

レアアースは現代産業に不可欠な物質だが、その採掘・製錬には困難が伴う。特に放射性物質のトリウムが問題となる。レアアース鉱物にはトリウムが同伴し、製錬時に分離されるが、中国はその処理コストをかけずにダンピングを行い、世界シェアを拡大してきた。

1980年代から中国のレアアース生産は急拡大。分離されたトリウムは廃液としてテーリングポンドに貯められた。しかし、遮水対策が不十分で地下水に浸透。内モンゴル自治区のダラハイ村では、家畜の大量死や住民のがん・白血病の罹患率が周辺の数倍に跳ね上がり、「癌症村」として知られるようになった。

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外部不経済を内部化すればダンピングは継続できない。そこで中国はトリウムの利用を模索した。2007年12月、北京の清華大学で「TU2007」シンポジウムが開催された。TUはThorium Utilizationの頭文字で、トリウム利用の可能性を探る会議。IAEAと共催され、中国、カナダ、アメリカ、インド、オーストラリア、ブラジル、フランス、韓国、オランダ、ノルウェー、ロシア、スロバキア、日本が参加した。

「国家方針」として力を入れていた中国

中国はトリウム溶融塩炉の開発を国家方針として推進。これによりトリウムを原子力発電に利用し、同時にレアアース生産の環境負荷を低減する狙いがあった。さらに、発電した電力をEV充電に活用する構想も持っていた。

20年を待たず目標を達成した中国

中国のトリウム利用技術は急速に進展。2010年代には実験炉の運転に成功し、2020年代には商業化の目途が立った。これにより、レアアース生産におけるトリウム問題を解決しつつ、クリーンエネルギーとEV普及を同時に推進する戦略が現実のものとなった。

現在、中国はレアアースの世界生産量の約7割を占め、トリウムを活用した原子力発電とEV充電インフラの整備を進めている。この「三位一体」の戦略は、中国の資源覇権をさらに強固なものにしている。

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