フィリピンEEZ内スカボロー礁、中国海警局パトロール常態化…漁業に打撃
フィリピンEEZ内スカボロー礁、中国海警局パトロール常態化

中国海警局のパトロール常態化で漁業に深刻な影響

フィリピン西方沖の南シナ海に位置するスカボロー礁(中国名・黄岩島)は、同国の排他的経済水域(EEZ)内にあり、豊かな漁場として知られている。しかし、近年この海域では中国海警局による「パトロール」と称する航行が常態化しており、地元漁業者の操業に深刻な影響が出ている。

ルソン島西部のマシンロック港で、地元漁業者団体代表のレオナルド・クアレスマさん(60)は「GPSを確認しながら慎重に漁に出ている」と語る。同礁から約230キロ離れたこの港から、漁師たちはかつてスカボロー礁周辺で漁を行っていたが、現在は礁から約75キロメートルまでしか近づくことができない。思うように漁に出られず、クアレスマさんの仲間100人が転職を余儀なくされた。

仲裁裁判所の判決から10年、中国の姿勢変わらず

オランダ・ハーグの仲裁裁判所が、南シナ海を巡る中国の主張を全否定する判決を下してから、12日で10年が経過した。判決を拒絶する中国は、力による一方的な現状変更を止める気配はない。南シナ海では、南方のスプラトリー(南沙)諸島でも人工島の軍事拠点化が進んでいる。

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仲裁裁判所の判決は、フィリピンが2013年に中国の南シナ海における主権主張は国連海洋法条約に違反するとして提訴し、16年7月12日に示されたものだ。判決は南シナ海のほぼ全域に及ぶ中国独自の境界線「九段線」の法的根拠を否定した。同条約に加盟する当事国は判決に従う義務があるが、中国は判決を「紙くず」と批判し、受け入れていない。

漁業者の生活と地域経済への打撃

スカボロー礁周辺の漁場へのアクセス制限は、地元漁業者の生活を直撃している。クアレスマさんは「以前は豊富な魚が獲れたが、今は遠くまで出かけなければならず、燃料代もかさむ」と嘆く。転職した仲間たちは建設業や観光業に移ったが、十分な収入を得られない者も多い。

マシンロックの港では、使われなくなった中型船が放置され、漁業の衰退を物語っている。地域経済にも悪影響が及び、関連産業の縮小が懸念されている。

国際社会の対応と今後の見通し

仲裁裁判所の判決から10年が経過したが、中国の行動に変化は見られない。国際社会は中国に対し判決の尊重を求めてきたが、実効性のある措置は取られていない。フィリピン政府は外交ルートを通じて問題解決を模索しているが、中国の強硬な姿勢に苦慮している。

専門家は、中国が南シナ海での実効支配をさらに強化する可能性を指摘する。スカボロー礁周辺のパトロール常態化はその一環であり、今後も漁業者への圧力が続くことが予想される。

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