経団連・筒井会長が語る「シン・日本型経営」、人への投資と決断力で停滞打破
経団連・筒井会長、「シン・日本型経営」で人への投資と決断力強調

経団連の筒井義信会長は、「人への投資」と「決断」こそが日本経済の停滞を乗り越える鍵だと強調した。マーサージャパンの草鹿泰士社長との対談で、世界の分断や雇用流動化を踏まえ、日本型経営の刷新を訴えた。

世界の分断と自由貿易体制の揺らぎ

筒井会長は、現在の世界が「分断と対立」に直面していると指摘。「自国第一主義」の潮流により、経済的威圧が横行する一方、日本は自由で開かれた国際経済秩序の恩恵を受けて発展してきたと振り返る。この秩序が揺らぐ現実を直視する必要があると述べた。

対応策として、筒井会長は2つのアプローチを挙げた。第1は、自由貿易の理念を世界に浸透させるリーダーシップの発揮だ。昨年のWTO訪問で多角的通商体制の揺らぎを痛感したといい、経団連が改革提言を現地で発信したのは、国際経済秩序を守り抜く決意の表れだと語る。

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第2は、同志国とのネットワーク構築だ。経済安全保障の重要性を踏まえ、CPTPPの拡大を通じて韓国やインド、グローバルサウスへと輪を広げ、ルールの高度化を図る考えを示した。

「人への投資」と雇用の流動化

草鹿氏が「新卒一括採用」「年功序列」「終身雇用」といった日本型雇用の機能不全を指摘すると、筒井会長は「失われた30年」の間に経営者が賃上げを抑え、投資を控えてきた防衛的意識を反省すべきだと応じた。設備投資や研究開発に加え、賃上げを含む「人への投資」が経済と経営のダイナミズムを回すエンジンだと説く。

また、働く人の価値観が多様化する中で、労働の流動化は社会全体の生産性を高めるうえで重要だと指摘。企業は働き手から選ばれるよう、労働条件や評価制度、働きがいのある環境を整備する必要があると強調した。

高市政権との連携とダイバーシティ

政治面では、高市総理が掲げる「強い経済」構想は、経団連の「投資牽引型経済」と軌を一にすると評価。ただし、日本は海外から「意思決定の遅い国」と見られてきたとし、官民一体でスピード感を持って課題に対応する潮流が生まれるとの期待を示した。

ダイバーシティについては、イノベーションと競争力の源泉だと強調。組織内に残るジェンダーへの無意識のバイアスを払拭するため、男性側の意識改革や家事・育児分担の環境整備が必要だと述べた。

「判断」を超えた「決断」が未来を拓く

投資家との対話については、中長期的な視点で企業を評価するマインドセットの共有が不可欠だと指摘。アセットオーナーには、3〜5年の複数年で運用会社を評価し、報酬体系も中長期成果に連動させる長期のオーナーシップを求めた。

最後に、これからのリーダー像について筒井会長は「決断力」を挙げた。情報を精査する「判断」と、全責任を負う覚悟を伴う「決断」は似て非なるものだとし、リスクを負って決断できる人物こそが「投資牽引型経済」への道筋を示すと語った。

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