サムスン電子は8月7日、折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold8 Ultra」「Galaxy Z Fold8」「Galaxy Z Flip8」の3機種を発売した。これまで縦開きと横開きの2機種展開だったGalaxy Zシリーズに、開くと縦長になるGalaxy Z Fold8を加えたのが2026年の大きなトピックだ。Appleの参入がうわさされる中、Androidスマホメーカー各社もフォルダブルスマホのラインアップを拡大しているが、縦長ディスプレーを新たに提案することで差別化を図った格好だ。
「かわいい」とSNSで話題に
サムスン電子ジャパンの常務でMX事業本部CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を務める小野剛一氏は、その理由を「7世代分のさまざまな声やフィードバックを蓄積してきた結果、広いニーズに応じたラインアップ展開が必要になった」と語る。マーケティングメッセージも、「なぜフォルダブルなのか」から「どのフォルダブルを選ぶか」に転換していったという。
その結果、SNSでの話題は「前作比で2倍になった」(同)。話題性の獲得に成功したうえで、同社では「ユーザーの体験場所を2.6倍に拡大し、(初速での)販売実績も前作の1.2倍になっている」(同)といい、手応えを感じているようだ。国内では、ドコモ、KDDI、ソフトバンクに続き、楽天モバイルも3機種を同時に発売したことで、ついにGalaxy Zシリーズも4キャリア並びでの展開になった。
価格高騰も「かわいい」と女性に支持
一方で、メモリの高騰や円安を受け、価格は2025年よりも上昇している。では、横開きのGalaxy Z Fold8を投入し、販路を拡大したことで、日本でのユーザー層はどのように変わったのか。小野CMOと同社常務でMX事業本部 副本部長を務める大森崇行氏が、報道陣からの質問に答えた。その主なやりとりを掲載する。
――Galaxy Z Fold8をラインアップに加えましたが、どのような層がターゲットなのでしょうか。
小野氏「3機種を出しましたが、どこをターゲット層にしようという意識はあまりありませんでした。フィードバックやニーズにお応えした結果として3機種になった。ターゲットありきで発売したのではありません」
「Galaxy Z Fold8に関しては、コンテンツ視聴に対してのニーズがありました。スマホの1日の使用時間の半分は、コンテンツの視聴に使われています。その仮説が当たり、新しいフォルダブルの体験を感じていただけるお客さまが増えています。そのような方々を世代や性別で分けると、女性の若い方に支持されています。もともとGalaxy Z Flipシリーズを使っていた方の移行も非常に多い。Galaxy Z Fold8はSNSでも『かわいい』と表現されることが多く、サイズ感や開いたときの印象で女性の支持が高いと分析しています」
――とはいえ、フォルダブルスマホはまだシェアで言えば数%だと思います。
大森氏「正直に申し上げると、フォルダブルスマホがメインストリームになり、世界中で大ヒットしている状況ではないのはおっしゃる通りです。今は選択肢を増やしている状況で、これからも増えていく確信していますし、望んでもいます。われわれは、そのために頑張っている。啓蒙活動とまでは言いませんが、こんなに便利ということ、これまで小野とやってきました。その結果、利用価値を認めていただけた。全てが前年より売れていますが、その中でもGalaxy Z Fold8が頭1つ抜けています」
小野氏「今回は、大きく2つを変えています。1つはこれまでだと、『今回のサイズはこれ』『訴求する項目はこれ』という形で、コミュニケーションが終わっていました。その発想を変え、『お困りごとがあったら解決する』『こんなこともできる』といったように、ユーザーが自分事化してくれるようなコミュニケーションを取っています」
「そのときの解決方法はいろいろありますが、触りたたみについてはとにかく触ってもらい、実感してもらい、選択肢として考えてもらいたい。オーラインアップでニーズに応えるブランドというところまで引き上げていきたいですね」
販路拡大とタッチポイント増加の効果
――販路が増えたことも影響しているのでしょうか。自社販路(オープンマーケット版)の販売は伸びているのでしょうか。
大森氏「販路は拡大しています。その上で、EストアやGalaxy Harajuku、Galaxy Studio Osakaといった自社販路での販売はきちんと伸びています。足元では、あまりに人気が高く、バックオーダー(在庫切れに対して注文が入っている状態)になってしまいました。すぐお届けできないのは申し訳ないのですが、注文は確実に伸びています。もちろん、日本ではキャリアの店頭が大きいのは事実ですが、家電量販店やAmazonさん、楽天さんといったオープン販路も伸びています」
――タッチポイントを2.6倍に増やしたというお話でしたが、具体的にはどういうところを増やしたのでしょうか。
小野氏「ポップアップも含めて、過去にいろいろなところをトライしてきました。いろいろやってみた結果、結局のところは量販店かなと思っています。量販店の中では、大きく2つを作っています。1つが量販スタジオで、直接そこで販売するというより、量販店の中でGalaxyを体感していただく場所にしています。SIMフリー(オープンマーケット)版を導入しているので、それに沿った体験場所になっています」
「もう1つは、キャリアに働きかけ、それぞれの実情に合わせて展示スペースをお借りし、デモのモードを充実させています。以前、触りたたみスマホはデモ機が想定しているほど流通できていませんでした。そういった場所を増やしています」
「課題だと思っているのが、世の中には触りたたみスマホというものがあるということまでは分かっていても、まだまだバーチャルな世界の話になっていることです。Netflixで見たけど、本当にあるんだという感覚の方がまだまだ多い。体感してもらうことで、想像上のスマホからリアルなスマホになります。体験場所は、顕在化しているニーズを解決方法として提案するだけでなく、こんなこともできるという潜在的なニーズを訴求するのにも役立っています。問い合わせ数も手応えを感じるほどの数になっています」



