スバルは、新たな生産コンセプト「変種変量短生産」を掲げる矢島新工場で、トヨタと共同開発したバッテリーEV「トレイルシーカー」と「bZ4Xツーリング」の混流生産を開始した。この工場では、従来の大量生産方式とは異なり、異なる車種を同一ラインで柔軟に生産する革新的な方式が採用されている。
混流生産の背景と狙い
スバルの渡邊常務は、矢島工場のリニューアルプランの背景について、「バッテリーEVという選択肢を我々としても持っていく必要があるというのが、きっかけでした」と説明する。ただし、BEVを一から開発するには莫大な投資が必要なため、十数年前からアライアンスを組むトヨタとの共同開発という形を取ったという。
トレイルシーカーとbZ4Xツーリングは、基本プラットフォームを共有しながらも、多くの部分で差異がある。渡邊常務は、「けっこう苦労が多かった」と告白し、特に「ラインでパーツを組み付けるときの車体固定のための基準位置が、2車で異なること」が最大の課題だったと語る。
過去の混流生産の経験
スバルは過去にも、他社製品の組み立てを請け負った経験を持つ。例えば、米国のSIA(Subaru of Indiana Automotive)では、2007年から2016年までトヨタ「カムリ」を生産していた。また、2012年からは「86(とBRZ)」の混流生産を同一ラインで行ってきた。今回の矢島工場での混流は、さらに規模が大きいものとなっている。
ラインの担当者は、「販売店の数などの諸条件の関係で、いまはトヨタ車が多くなりがちですね」と説明する。また、将来生産が計画されているフォレスターも試験的にラインに流れており、一部のガソリン用ポンプではハイブリッド車に自動給油が行われている。
今後の展望
スバルは、この変種変量短生産のコンセプトをさらに発展させ、多様な車種を効率的に生産する体制を整える方針だ。渡邊常務は、「我々のほうから製品の提案をし、数年かけて今回の形へと持っていきました」と述べ、今後の生産ラインの柔軟性向上に意欲を示している。



