スバルは2026年2月に稼働を開始した矢島新工場で、従来の常識を覆す「変種変量短生産」コンセプトを採用した。この新工場では、エンジン車(ICE)とバッテリー電気自動車(BEV)が同じ組み立てラインを流れる混流生産が行われており、さらにトヨタ自動車の車種も同一ラインで生産されるという、他ブランドとの混流も実現している。
市場変化への柔軟な対応
スバルの渡邊郁夫常務執行役員は、「変化への柔軟性こそが、競争力の原点」と語る。米国連邦政府によるBEV購入支援策が2025年9月末に正式撤廃された影響で、BEVの販売が大幅に減速したことを受け、スバルは自社開発のBEV導入時期を延期し、ICEへの開発リソースシフトを発表した。こうした市場の急変に対応できる生産体制が求められていた。
4つの柔軟性追求項目
スバルは「柔軟性の徹底的な追求」として、開発、組織、生産、商品の4項目を掲げた。開発ではコア技術の共通化による高効率開発、例えば車種間でのプラットフォーム共用化を推進。組織ではアジャイル開発に対応できる人材・組織づくりを目指す。生産では混流ラインとブリッジ生産(矢島工場と米国工場での同一車種生産)による変種変量短生産を実現。商品ではラインナップの大幅拡充を計画している。
矢島工場の混流生産の実際
矢島新工場の最大の特徴は、ICEとBEVの混流生産にある。具体的には、スバルの「トレイルシーカー」と「フォレスター」が同じラインを流れている。さらに、トヨタ「bZ4Xツーリング」も同一ラインで生産されており、取材時にはbZ4Xが多く流れ、スバルの工員が組み立てていたという。車体の長さの違いは、ノッチと呼ばれる機構で対応している。
過去の他ブランド混流生産事例
他ブランドの混流生産は過去にも例がある。ダイハツや日産などが同様の取り組みを行ってきたが、スバルとトヨタの協業による混流は、規模と技術面で新たな段階を示している。スバルはこの柔軟な生産体制により、需要変動に迅速に対応し、競争力を強化する方針だ。



