新入社員の早期流出に歯止めがかからない。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は、インターンシップが学生と企業の双方にメリットをもたらす仕組みである一方、逆効果となる事例が増えていると指摘する。
早期離職の最大の理由
入社後2カ月が経過し、研修を終えて配属先で業務に就く時期だが、毎年問題となるのが早期離職だ。スタッフサービス・ホールディングスの調査(2025年7月)によると、新卒で就職した会社で初めて「辞めようかな」と思った時期は、入社初日までが10.2%、1カ月未満で32.9%、3カ月未満で51.0%と半数を超える。
早期離職の大きな要因の一つはリアリティショック(予想と現実のギャップによるモチベーション低下)だ。就活中の説明会で業務内容を知っていても、入社後に「こんなはずではなかった」と感じることが離職の引き金となる。現在の就活生は売り手市場の中で三顧の礼で迎えられ、複数の内定を得る学生も多い。内定式ではクルーザーでの懇親会や高級レストランでの食事会を開く企業や、内定者フォローとして社員旅行への特別招待、専任メンター制度を設けて定期的に高級ランチを共にする企業もある。大手フリマアプリ会社では、海外出張費用の全額負担や語学留学費の補助まで行っている。
配属先では最年少の一兵卒
今年の入社式では経営トップから「変革の担い手に」とエールを送られ、懇親会で役員と酒を交わす場面も見られた。しかし、この厚遇を受けたとしても、配属先では最年少の一兵卒だ。上司や先輩にこき使われ、「こんなはずではなかった」と感じるのは不思議ではない。「自分がこの会社にいる意味がない」「結局、使い捨て」といった声も聞かれる。
それでも、多くの学生はインターンシップを経験しており、リアリティショックを防ぐはずだ。インターンシップは学生にとって自分のやりたい仕事を見つけ、職場の雰囲気に馴染めるかを確認する機会であり、企業にとっても学生が自社の文化にマッチし定着するかを見極める場だ。本来は双方がウインウインの関係を築くための試金石である。
インターンシップの逆効果
しかし、インターンシップがかえって早期離職を招くケースが増えている。学生はインターンで実際の業務や人間関係を体験することで、入社後のギャップを小さくするはずだが、企業側がインターンシップを採用活動の一環として過度に重視するあまり、学生に過剰な期待を抱かせてしまう。インターン中に手厚いフォローを受けた学生は、入社後も同様の扱いを期待するが、実際には一従業員として扱われる落差に失望する。
また、インターンを実施しない企業の言い分として、「本選考を受けてくれなくなった」という声がある。インターンシップを実施する企業が増える中、インターンに参加しなかった学生は選考プロセスで不利になると感じ、応募を避ける傾向がある。結果として、インターンシップは企業と学生のミスマッチを解消するどころか、新たな格差を生み出している。
早期離職を防ぐためには、インターンシップの在り方を見直し、学生に過度な期待を抱かせない現実的な情報提供と、入社後の丁寧なフォローが不可欠だ。売り手市場だからこそ、企業は採用後のギャップを埋める努力が求められている。



