EV販売低迷で電池大手が戦略転換、LFP生産拡大へ
EV販売低迷で電池大手が戦略転換、LFP生産拡大へ

電気自動車(EV)市場の成長鈍化を受け、世界の主要電池メーカーが戦略の見直しを迫られている。従来主流だった三元系リチウムイオン電池から、より安価で安全なLFP(リン酸鉄リチウム)電池へのシフトが加速している。パナソニックホールディングスや韓国LGエナジーソリューションなどが新たな生産計画を発表し、業界地図が大きく変わりつつある。

EV販売減速が引き金に

2024年、世界のEV販売台数は前年比で約20%増加したものの、前年の35%増から伸びが鈍化。特に欧州では補助金削減の影響で販売が低迷し、中国市場でも競争激化による価格下落がメーカーの収益を圧迫している。こうした状況を受け、自動車メーカーはコスト削減を強く求めており、電池メーカーは従来の高エネルギー密度路線からコスト重視の戦略へと舵を切らざるを得なくなった。

LFP電池の優位性

LFP電池は、三元系電池に比べてエネルギー密度は低いものの、材料コストが約3分の1と安価で、熱暴走のリスクが低いという安全性のメリットがある。また、充放電サイクル寿命が長く、リンや鉄といった資源が豊富なため、供給リスクも小さい。中国のCATLやBYDが既にLFP電池で世界市場の過半数を占めており、日韓メーカーは出遅れを取り戻すべく生産拡大に動いている。

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パナソニック、北米でLFP生産へ

パナソニックホールディングスは2024年、米国カンザス州の工場でLFP電池の生産を検討していると発表。同社はこれまでテスラ向けに三元系電池を供給してきたが、需要の変化に対応する。2026年までの量産開始を目指し、投資額は約50億ドルを見込む。パナソニックの電池事業責任者は「顧客の多様なニーズに応えるため、LFPもラインアップに加える」とコメントしている。

LGエナジーソリューションも追随

韓国LGエナジーソリューションも2024年、米国アリゾナ州の工場でLFP電池の生産計画を発表。2026年からの量産開始を目標とし、年間生産能力は16GWhを見込む。同社はフォードやGMなど北米自動車メーカーとの契約を活かし、LFP電池の需要を取り込む方針だ。また、サムスンSDIやSKオンもLFP電池の開発を加速しており、韓国勢の追い上げが激しくなっている。

中国勢の圧倒的優位

しかし、LFP電池市場では中国勢が依然として優位に立つ。CATLは2023年に世界シェア約37%を占め、LFP電池ではさらに高いシェアを持つ。BYDも自社製EVに搭載するブレードバッテリーで知られ、生産コストで日韓メーカーを凌ぐ。中国メーカーは低価格を武器に海外市場にも進出しており、欧米の電池メーカーは価格競争に苦戦している。

今後の展望

LFP電池へのシフトは、EVの価格低下につながる可能性があるが、航続距離の短さが課題となる。高級EV向けには引き続き三元系電池が使われる一方、普及価格帯のEVではLFPが主流になるとみられる。また、全固体電池などの次世代技術の開発も進んでおり、2030年以降の市場構造はさらに変化する可能性がある。電池大手は、コスト競争力と技術革新の両立が求められている。

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