欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は読売新聞のインタビューに応じ、次回12月の定例理事会で追加利上げを行う可能性を示唆した。ラガルド氏は10月29日、来年10月の任期満了を待たず、同年2月7日に早期辞任すると発表しており、発表後にインタビューに応じるのは読売新聞が初めてとなる。
物価高への危機感あらわ
ラガルド氏は「今後、数四半期にわたって物価上昇(インフレ)率は高水準で推移することは確実だ。インフレ率が高ければ高いほど、また高水準が長く続けば続くほど、(2%の)中期的な物価目標(達成)に向けたリスクは高まる」と述べ、エネルギー価格を中心とする物価高への危機感を示した。
その上で、次回12月会合での政策判断について「現時点で入手している情報に基づけば、私が予想する(金融政策の)方向性から外れるには、相当な変化が必要だ」とし、利上げを示唆した。
インタビュー当日の4日に発表されたユーロ圏の消費者物価指数は、前年同月比で4.0%上昇し、約3年ぶりの高水準となった。
インフレの内実と波及効果
ラガルド氏は、10月のインフレ率4%について「非常に高い数字に見える。しかし、その内実を詳しく見る必要がある」とし、主にエネルギー価格の上昇によるものだと説明した。中東の紛争や世界的な製油能力の低下を背景に、エネルギーのインフレ率は9月の18.9%から20.8%に上昇したという。
一方で、エネルギーや食料品、酒類、タバコを除いたコアインフレ率は2.5%で、9月から横ばい。サービス部門のインフレ率は3.3%へとわずかに上昇したが、過去4か月間で見られてきた範囲内に留まっていると述べた。
エネルギー高が幅広いモノやサービス価格に影響する「二次的な波及効果」については、「現時点では、我々の予測に織り込んだ範囲を超える二次的な波及効果の兆候は見られない」とし、複数年単位の賃金協定や企業の賃金見通しを注視していると語った。
過去の教訓と財政問題
ロシアによるウクライナ侵略に伴うエネルギー高の際、対応が遅れたとの批判については、「後になって振り返れば、それは誤った判断だった。状況ははるかに複雑だった」と振り返った。
フランスの長期金利上昇がほかのユーロ圏の国に波及する恐れについては、世界的な金利上昇の要因として、地政学的混乱によるインフレ上昇、世界的な国債発行の増加、政府の資金調達ニーズとハイパースケーラーとの間の競争などを挙げた。
その上で「債務水準が高い加盟国ほど、こうした世界的な金利上昇の影響をより強く受けており、それが我々の観察結果でもある。そのため、財政枠組みを遵守する必要性が一層切実かつ強まっている」と述べた。
市場の混乱を抑えるため国債を買い入れる制度「伝達保護措置」の発動については、「豊富なツールボックスを保有しており、どの手段も事前に排除されることはない」とし、特定の基準や条件に合致し、ECBの政策理事会による判断が求められるとした。