KDDIが11月6日に発表した2027年3月期上期(2026年4〜9月)決算で、モバイル通信収入は前年同期比335億円増の9856億円となった。増加分の半分以上は料金改定の効果ではなく、解約の減少や上位プランへの移行による「オーガニックな成長」だという。10月に楽天モバイル向けローミングを縮小したことで、混雑エリアの通信品質も改善している。
モバイル通信+固定通信の利益は624億円増
上期の連結業績は、売上高が前年同期比4.7%増の3兆528億円、調整後営業利益が13.9%増の6331億円だった。調整後営業利益は、非経常的な損益や事業ポートフォリオの見直しに伴う一時的な損益を除いた利益で、通期予想に対する進捗率は52.3%だった。
KDDIは今期から事業セグメントを組み替え、個人・法人向けのモバイル通信と固定通信、端末販売を「テレコムコア」にまとめた。テレコムコアの上期の調整後営業利益は前年同期比16.7%増の4357億円で、増益額624億円のうち280億円をモバイル通信収入の伸びが占める。残りの343億円は、コスト管理の徹底や、販売戦略の見直しに伴う会計処理の変更によるものだ。
モバイルARPUは4420円、上位プラン契約者は400万人超え
スマートフォンの契約数は9月末時点で3334万と、前年同期から42万増えた。7〜9月のスマートフォン解約率は1.18%で、前年同期から0.03ポイント下がった。auとUQ mobileでは、加入から1年以内に解約する利用者の割合も下がっており、長く使ってもらうことを重視する戦略を進めた結果だとしている。
1契約あたりの月間平均収入(モバイルARPU)は4420円で、前年同期から70円(1.6%)上がった。UQ mobileからauに移る利用者は、7〜9月の各月でauからUQ mobileに移る利用者を上回った。
上位プランでは、auの「auバリューリングプラン」とUQ mobileの「コミコミプランバリュー」の契約者が、9月末時点で合わせて400万人を超えた。auバリューリングプランはデータ使い放題に加え衛星通信の「au Starlink Direct」や混雑時の通信を優先する「au 5G Fast Lane」などをセットにしたプランで、コミコミプランバリューは35GBのデータ容量と1回10分以内の国内通話を組み合わせている。
店頭での上位プランへの移行実績はオンラインの3倍に上る。KDDIは、店頭スタッフが専門知識や応対の型をAIで補えるよう、販売支援や接客のロールプレイにAIを取り入れている。
楽天ローミング縮小でパケ詰まり率が約3割低下
KDDIは10月から、楽天モバイルに提供してきたローミングのエリアを縮小した。楽天モバイルが自前でエリアを整備した場所から順次提供を終え、山間部など人口の少ないエリアに限って、エリアと期間を区切って提供を続けている。
10月以降はKDDIのネットワークに入ってくる楽天モバイル利用者のトラフィックが大きく減り、場所によっては4〜5割近く少なくなった。横浜市と福岡市の一部の混雑エリアでは、パケ詰まり率が約3割下がった(9月24日〜10月15日の実測)。パケ詰まり率は、混雑時にWebページを安定して2.5秒で表示できる応答速度(500ミリ秒以内)を確保できなかった利用者の割合を示す指標だ。
KDDIは通期計画に10月以降のローミング収入を含めていなかった。ルーラルエリアで提供を続ける分が上乗せになり、下期は約100億円の上振れを見込む。この額は当初の見通しとの差分で、ローミング収入の総額ではない。
英Opensignalの通信体感の評価で、KDDIは直近5回連続で国内主要4社のうち最も多くの部門を受賞した。法人向けモバイルのMNPによる純増数は上期に前年同期の約1.5倍に増え、povoの純増数も10月(1〜25日)は9月から約30%増えた。
他社の値上げにも「価値の競争」を続ける
KDDIが2025年8月にauの既存プランを最大330円値上げしてから1年あまりがたち、競合も料金を引き上げている。ソフトバンクは7月に既存プランを含めて月額110〜550円値上げし、NTTドコモは12月から既存プランを値上げするとともに、ahamoを40GBまで月額3135円からの段階制に改める。
他社の値上げについて、田中氏は各社それぞれに価値の付け方があるとした上で、販売促進費の競争ではなく、価値の競争で選んでもらう方針を続けると話した。通信品質や他社に先駆けたサービスの提供で価値を高めてきたとし、次の施策は「お話しできるタイミングが来たら」説明するとした。
UQ mobileのコミコミプランバリューは35GBで、12月以降のahamoの40GBを下回る。田中氏は、中容量の料金帯でデータ容量が20GBから30GB、35GB、40GBと増えてきたことは承知しているとした上で、データ容量だけで競うのではなく、ゴールドカードやPontaパスといった特典を含めて総合的に判断してほしいと話した。ただ、店頭ではデータ容量などの数字で比べられることも認識しており、どう対応できるかを検討しているという。
povoは基本料0円で、必要なときにデータ容量などを購入(トッピング)して使うサービスだ。契約数を他のブランドと同じ形で示しにくいことから、KDDIは1カ月以内に利用があった「アクティブ」な利用者を増やすことを指標にしている。2回線目として持ち、必要なときだけトッピングする利用者が増えているといい、こうした利用者に月額で使えるトッピングを見せ、メイン回線としての利用につなげたい考えだ。