EVシフト加速、トヨタのハイブリッド戦略に迫る岐路
EVシフト加速、トヨタのハイブリッド戦略に迫る岐路

世界の自動車業界で電気自動車(EV)シフトが加速する中、トヨタ自動車のハイブリッド車(HV)戦略が岐路に立たされている。同社は2025年までに新車販売に占めるHVの比率を30%に引き上げる計画だが、競合他社のEV攻勢や各国の規制強化が影を落としている。

トヨタのHV戦略の現状

トヨタはHVで長年世界をリードしてきた。1997年に初代プリウスを発売して以来、累計販売台数は2000万台を超える。しかし、近年のEVシフトの流れはトヨタの戦略に疑問を投げかけている。欧州連合(EU)は2035年までに内燃機関車の新車販売を事実上禁止する方針を打ち出し、米国や中国でもEV普及策が加速している。

トヨタはHVに加え、プラグインハイブリッド車(PHV)や燃料電池車(FCV)も含めた「マルチパスウェイ」戦略を掲げる。豊田章男社長は「顧客や地域によって最適なパワートレインは異なる」と述べ、EV一辺倒ではない姿勢を強調してきた。

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競合他社のEV攻勢

一方、競合他社のEV攻勢は目覚ましい。米テスラは2022年に世界で131万台を販売し、独フォルクスワーゲン(VW)もEV販売で急成長している。中国の比亜迪(BYD)は2022年にEVとPHVを合わせて186万台を販売し、トヨタのHV戦略に圧力をかけている。

「トヨタはHVで成功したが、EVへの移行が遅れている」と、自動車アナリストの山田氏(仮名)は指摘する。実際、トヨタの2022年のEV販売台数は2万4000台と、全体の0.2%に過ぎない。

規制強化と市場の変化

各国の規制強化もトヨタの戦略に影響を与えている。EUの2035年規制に加え、米カリフォルニア州も2035年までに新車販売をゼロエミッション車に限定する方針だ。中国も2025年までに新車販売の20%を「新エネルギー車」(NEV)とする目標を掲げている。

こうした規制に対応するため、トヨタは2026年までにEVの販売台数を150万台に引き上げる計画を発表した。しかし、HVの比率を維持しながらEVを拡大するのは容易ではない。

トヨタのマルチパスウェイ戦略の課題

トヨタのマルチパスウェイ戦略は、HV、PHV、FCV、EVを状況に応じて組み合わせるものだ。しかし、EVシフトが加速する中、この戦略は「過渡期のもの」との見方もある。特に、FCVは水素インフラの整備が進まず、普及が限定的だ。

「トヨタはHVで巨額の投資を回収する必要がある。そのため、EVへの全面移行には慎重だ」と、業界関係者は語る。トヨタのHV関連の特許は数万件に上り、ライセンス収入も大きい。

今後の展望

トヨタは2025年までにHV販売比率30%を達成し、その後もHVを重要な柱と位置づける方針だ。しかし、EVシフトの加速や競合の攻勢により、HVの需要がいつまで続くかは不透明だ。

「トヨタがHVで築いた技術はEVにも応用できる。しかし、市場の変化に合わせて柔軟に対応する必要がある」と、専門家は指摘する。トヨタの戦略が成功するかどうかは、今後のEV市場の動向と同社の対応にかかっている。

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